鈴木誠也がメジャー球団に人気沸騰のワケ 現時点で争奪戦はジャイアンツがリードか
レッドソックス入りの報道はトーンダウン
現時点での本命は、右の強打者を必要とするジャイアンツか。このヤストレムスキーをセンターに回し、鈴木にライトの定位置を与える可能性は十分ある 【写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ】
なかでもジャイアンツは、中軸を打てる右打者を必要としている。バスター・ポージーが引退し、昨夏に獲得したクリス・ブライアントはFAになったため、現時点のメンバーで打線を組むと、3分の2が左打者になりかねない。外野の両翼にはマイク・ヤストレムスキーとラモンテ・ウェイドJr.がいるが、センターは確定しておらず、ヤストレムスキーはセンターも守れる。また、イチローがオールスターゲームで打ったランニング本塁打を思い出してもらえればわかるが、本拠地のオラクル・パークは右方向のフェンスが独特の形状をしているため、守備に不安のある外野手には厳しい。
一方、こちらも引退により、マリナーズ一筋のキャリアを終えたカイル・シーガーは、左打ちの三塁手だった。マリナーズで実績のある外野手はミッチ・ハニガーのみながら、ジャレド・ケルニックを筆頭に有望な若手がひしめく。2001年を最後にポストシーズンから遠ざかっている現状を鑑みれば、若手の台頭を待つのではなく、鈴木を加えるのも一策とはいえ、補強の優先順位は内野手や先発投手のほうが上だろう。
むしろ、マリナーズよりも鈴木がフィットしそうなのは、ボストン・レッドソックスだ。昨年12月1日にミルウォーキー・ブルワーズへ放出したハンター・レンフローは、ライトを守っていた。レンフローと鈴木は、どちらも右打者だ。本拠地のフェンウェイ・パークには、レフトに高さ11メートルのグリーン・モンスターがそびえ立つ。右打者はそこに打球を当てることで、“ウォールボール・ダブル”と呼ばれる二塁打を量産できる。
ただ、年が明ける頃までレッドソックスを筆頭候補に挙げていた各メディアの報道は、最近になってトーンダウンしている。球団側の事情は変わっていないので、報道が誤っていなければ、鈴木がレッドソックスを候補から外した、あるいは鈴木にとって最初から意中の球団ではなかったということが考えられる。レッドソックスと同じく東海岸に本拠を置く、ニューヨーク・ヤンキースとニューヨーク・メッツの噂も少なくなっている。
ロックアウトが終了次第、入団会見へ?
なかなか新天地が決まらない鈴木だが、ロックアウトが終わり次第、早々に数球団のキャンプ地を訪れ、そのまま入団という流れになるのではないか 【写真は共同】
カブスは昨夏にファイヤー・セールを敢行し、前述のブライアントを含む数人の主力を放出したばかりだが、再建には向かわずに再浮上を図るつもりのようだ。メッツからFAとなった先発投手のマーカス・ストローマンを3年7100万ドル(約81億7000万円)で迎え入れたことからも、その意思が窺える。
一方のパドレスも昨年、ダルビッシュ有やブレーク・スネルら有力選手を獲得しながらポストシーズン進出を逃しただけに、今シーズンの捲土重来を期している。現状ではカブス、パドレスの両球団とも、万全の外野陣とは言い難い。
現時点までの情報を整理すると、ロックアウトが終わり次第、鈴木は数球団のキャンプ地を訪れ、早ければその直後にも入団発表を行うのではないかと予測される。スプリング・トレーニングが短縮され、開幕前にエキシビション・ゲームでアジャストを施す機会は減りつつある。さらにビザの取得に時間を要した場合、開幕に間に合わない可能性も出てくるだろう。期限いっぱいまで交渉を続ければなおさらだ。
もしかすると、鈴木の胸の内では、すでにどの球団のユニホームを着るか、ほぼ決まっているのかもしれない。
(企画構成:YOJI-GEN)