連載:データで可視化「球団別・長所と短所」

各球団の“カギ”となる選手は? データで可視化「球団別・長所と短所」セ・リーグ野手編

広島の得失点貢献で圧倒的な存在感を放った鈴木誠也 【写真は共同】

 新年を迎え、キャンプインの足音が聞こえてきた。2022年シーズンでの飛躍を誓い、選手たちが鍛錬に励んでいる中、チームもドラフト指名選手や新外国人選手の獲得などで、それぞれの方針に基づいて戦力補強を行っている。本稿では、21年のポジション別得失点貢献から各チームの長所や短所を可視化し、オフシーズンの補強と併せてチームの現状に触れていきたい。

2021年セ・リーグ:ポジション別得失点貢献

【データ提供:データスタジアム】

 得失点貢献とはリーグ内の同一ポジションの平均的な選手と比較して、打撃・走塁・守備・投球でどれだけの利得を生んだかを示したものだ。例えばヤクルトは二塁手のポジションにおいて、打撃と走塁を合わせた攻撃によって31.8点、守備で8.6点分チームの得失点に貢献していて、セ・リーグの平均的な二塁手よりもトータルで40.3点分の貢献をしたことを意味する。

2021年ヤクルト:ポジション別得失点貢献

【データ提供:データスタジアム】

長所:傑出している二塁・山田、三塁・村上の貢献度
短所:右翼の守備が不安


 山田、村上が守る二塁と三塁だけで70点に迫るプラスをたたき出しており、チームの大きな柱となっている。また前年は度重なる故障に苦しんだ中村がフルシーズン帯同したことに加えて助っ人の加入、塩見の台頭もあり、目立った穴はなくなった。今オフは戦力の流出がなく、22年も変わらぬメンバーで臨める点は大きいだろう。

 課題を挙げるとすれば、14.1点のマイナスとなった右翼だ。主に守ったサンタナは今季もレギュラーとしての起用が予想され、守備の貢献度が大きく改善するとは考えづらい。10月に7本塁打を放つなどシーズン終盤に日本球界への適応を見せた打撃面で、守備のマイナスをどれだけ取り返せるかがカギとなる。また左翼はプラスの数字となっているが、青木が先日40歳を迎えたことを考えるとそろそろ次世代を担う選手が出てきてほしいところ。日本シリーズに外野で出場した宮本や、高卒4年目の濱田、ドラフト2位ルーキー・丸山和らがベテランを脅かす存在となれるか注目だ。

2021年阪神:ポジション別得失点貢献

【データ提供:データスタジアム】

長所:攻守両面で頼りになる一塁手・マルテと中堅手・近本の存在
短所:二塁の守備力と近本に続く外野手の不在


 マルテが守った一塁はリーグトップの得失点貢献をマーク。チームへの残留が決まっている助っ人は、今季も心強い戦力となりそうだ。また中堅の近本が攻守で十分な貢献度を見せ、不動の地位を築いている。

 一方で弱点となっているポジションの一つが二塁だ。これまで糸原がレギュラーを務めてきたが守備面のマイナスが大きく、ポジションを脅かす存在が出てきてほしいところ。高卒4年目の小幡や同2年目の高寺はチーム内で高い評価を得ており、レギュラー争いに加わってくれば面白い存在となる。さらに、外野へと目を向けると両翼の数字の悪さが目立つ。右翼はシーズン中盤以降の佐藤輝の失速と、それをカバーできる選手の不在が響いた格好だ。また左翼を守ったサンズは昨季限りで退団。空いたポジションには新たな外国人野手の獲得を目指しているという報道もあるが、現時点では不透明な状況だ。今季はロハス・ジュニア、外野手にも挑戦中の原口、高卒3年目の井上といった既存の選手たちが両翼の戦力を引き上げられるかがポイントとなるだろう。

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