各球団の“カギ”となる選手は? データで可視化「球団別・長所と短所」セ・リーグ野手編
2021年巨人:ポジション別得失点貢献
【データ提供:データスタジアム】
短所:2番手以降の捕手の打力不足
坂本、岡本和、丸の3人は攻守で高い貢献度を示しており、変わらずチームをけん引する存在だ。また打撃だけを見ると二塁と右翼が大きな弱点のように映るが、どちらも守備の貢献が高く、総合的に見れば平均レベルに収まっている。外野には故障でシーズンの多くを二軍で過ごした梶谷や米独立リーグのMVPに輝いたウォーカーがいるほか、メジャー通算96本塁打のポランコとの契約合意も報道されており、起用する側にとっても打撃を取るか守備を取るか難しい選択を迫られそうだ。
捕手に目を向けると攻撃面でのマイナスが目立つ。95試合でスタメンマスクをかぶった大城は11本塁打を放ったが、大城に次いで出場機会の多かった小林は打撃の課題を克服できず、マイナスがかさむ結果となってしまった。5年目を迎える岸田は二軍で申し分ない打撃成績を残しており、2番手捕手争いに加わってくることを期待したい。
2021年広島:ポジション別得失点貢献
【データ提供:データスタジアム】
短所:鈴木誠が移籍した場合の打力と一、三塁のレギュラー不在
広島の大きな強みが捕手だ。昨季は坂倉が最後まで首位打者争いを繰り広げるなどブレークしたが、併用制を敷いていた関係で捕手での先発出場は53試合にとどまった。それでも22.1点のプラスとなったのは坂倉の打撃による貢献がそれだけ高かったことに加え、會澤、石原ら続く選手が出場しても大きなマイナスにはならないという選手層の厚さを示している。
補強面で避けて通れない話題が鈴木誠の去就だろう。広島の右翼は全ポジションの中で得失点貢献が最も高く、移籍が決まればその影響の大きさは言うまでもない。代わりにライトを守る選手だけで穴をうめるというのは現実的ではなく、チーム全体でのカバーが必要になるだろう。カギを握るのは合計で60点以上のマイナスを記録した一塁と三塁だ。一塁には21年に3Aで32本塁打を放ったマクブルームを補強。セ・リーグには打撃で突出した成績を残している一塁手がおらず、期待通りの活躍をすれば一気にプラスへと転じる可能性もある。三塁の補強はここまで見られていないが、主に守った林は今季で高卒4年目とこれからの成長が見込めるだけに、マクブルームとともに打線のポイントとなりそうだ。
2021年中日:ポジション別得失点貢献
【データ提供:データスタジアム】
短所:全体的な攻撃力不足
攻撃面で20点以上のマイナスを計上したのが4ポジションと課題は明白だ。阿部や高橋周、平田といった実績のある選手が軒並み成績を落としてしまい、攻撃面ではほぼすべてのポジションが課題といえる。巻き返しを図るチームはドラフトでブライト、鵜飼と長打力が売りの外野手を上位で指名。さらに秋季キャンプからは打撃に定評のあるA.マルティネスと郡司の両捕手が外野守備に取り組んでおり、中堅組の復活に加えてこれらの選手が外野のレギュラー争いに割って入ってこられるかが貧打解消のカギを握っている。
そんな中、攻撃面でプラスとなったのが捕手だ。木下は広いバンテリンドームを本拠地としながら自己最多の11本塁打をマークするなど、打てる捕手として頭角を現してきた。立浪新監督も正捕手としての起用を明言しており、今季も攻守の要として活躍が期待される。またショートを守る京田は守備で高い貢献度を見せており、バットでのマイナスを取り返しているといえるだろう。
2021年DeNA:ポジション別得失点貢献
【データ提供:データスタジアム】
短所:捕手、遊撃手のレギュラー不在
6ポジションで攻撃の貢献度がプラスになるなど、打てる選手がそろっているのが最大の強みだ。中でも右翼はリーグ2位の貢献度をマーク。主に守ったオースティンは合流が遅れた影響で107試合の出場にとどまっており、フルシーズン帯同できるようであれば打撃面でさらに数字を伸ばすことも可能だろう。
一方で捕手と遊撃の2ポジションは合計40点以上のマイナスを計上しており、他のポジションが生んだプラスを相殺してしまっている格好だ。遊撃手としてチーム最多の80試合に出場した大和は34歳とベテランの域に差し掛かっており、若い戦力の台頭に期待したいところ。昨季は2年目の森がシーズン終盤に多くの出場機会を与えられるなど期待の高さをうかがわせており、今季はさらなる成長を見せられるか注目だ。そして今オフの補強の目玉となったのが、日本ハムを自由契約となっていた大田の獲得だろう。外野のレギュラーは固まっている状態だが守備力には課題を抱えており、守備にも定評のある大田は代打と守備固めを両方こなせる貴重な存在となりそうだ。