連載:高校サッカー選手権 記念すべき100回大会の「注目校」&「注目選手」は?

「打倒・青森山田」を実現するチームは? 大本命撃破の可能性を秘めた“四本の矢”

松尾祐希
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 ここ数年以上に絶対的な強さを感じさせる今大会の青森山田だが、もちろんライバルチームも指をくわえて、彼らの日本一への歩みを眺めるつもりはない。この大本命を撃破しようと、虎視眈々と爪を研いでいる。ここではトーナメント表を確認しながら、「打倒・青森山田」を実現する可能性を秘めた“四本の矢”を紹介する。一発勝負の選手権、何が起こっても不思議はない。

最初の刺客はプリンスリーグ関西の準優勝校

湘南内定のエース鈴木(写真)をはじめ、個性的なタレントを数多く抱える阪南大高 【松尾祐希】

 毎年のように“高校年代最強チーム”と称され、ライバルたちの挑戦を受けてきた青森山田だが、今年の彼らの実力は例年以上に抜けているかもしれない。

 日本一に輝いた夏のインターハイでは、大会新記録となる30ゴールを奪い、守っては6試合でわずか3失点。U-18高円宮杯プレミアリーグEASTでもJクラブを寄せ付けず、通算3度目の優勝を飾った。

 FC東京入団内定の松木玖生(3年)とFC町田ゼルビア入団内定の宇野禅斗(3年)で組むダブルボランチは言うまでもなくハイレベルで、中盤から前には他にもU-18日本代表MFの藤森颯太(3年)、ポストプレーを得意とするCFの名須川真光(3年)など実力者がそろう。昨季のレギュラーが抜けた守備陣も経験を積み、今では三輪椋平と丸山大和(ともに3年)のCBコンビを中心に難攻不落の砦(とりで)を築いている。両SBのけがの状態は気がかりだが、それでも最終ラインの安定感は今大会ナンバー1だろう。

「先輩たちの功績を見て、彼らは育ってきた」とは黒田剛監督の言葉だが、脈々と受け継がれてきた勝者のメンタリティも含め、現状で大本命・青森山田に隙は見当たらない。

 とはいえ、一発勝負の選手権では何が起こっても不思議ではないはずだ。ここではトーナメント表を改めて確認しながら、青森山田の行く手を阻む可能性のあるライバルチームを探っていく。

 まず、打倒・青森山田の“第一の矢”となりそうなのが、阪南大高(大阪)だ。

 順当ならば3回戦での対戦が予想される大阪の強豪校は、個性的なタレントを数多く抱える好チーム。攻撃の要は湘南ベルマーレ入団が内定しているFW鈴木章斗(3年)で、その巧みなポストプレーと鋭い得点感覚は、青森山田にとっても脅威となるだろう。

 サポーティングキャストも充実する。鈴木と2トップを組む石川己純(3年)は突破力と裏抜けが武器で、中盤センターに構える櫻井文陽(3年)はパスセンスが光るプレーメーカーだ。左SBの保田成琉は左足のキック精度が抜群で、2年生ながら徳島ヴォルティスの一員としてエリートリーグに出場した経歴を持つ。

 一方の守備陣もCBコンビの西田祐悟と櫻本亜依万(ともに3年)を軸に安定し、簡単には崩れない強さがある。夏のインターハイはベスト16で神村学園に敗れたが、以降は安定した戦いぶりでプリンスリーグ関西準優勝。相手のストロングポイントをうまく消しつつ、エースの鈴木が決定機を確実にモノにできれば、青森山田撃破も不可能ではない。
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著者プロフィール

1987年、福岡県生まれ。幼稚園から中学までサッカー部に所属。その後、高校サッカーの名門東福岡高校へ進学するも、高校時代は書道部に在籍する。大学時代はADとしてラジオ局のアルバイトに勤しむ。卒業後はサッカー専門誌『エルゴラッソ』のジェフ千葉担当や『サッカーダイジェスト』の編集部に籍を置き、2019年6月からフリーランスに。現在は育成年代や世代別代表を中心に取材を続けている。

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