都市対抗でチェックしたいドラフト候補 最速152キロ右腕など逸材多数

西尾典文
 11月28日に開幕する第92回都市対抗野球。今シーズンを締めくくる大会ではあるが、来年のドラフト候補にとってはアピールの場であることは間違いない。今大会に出場予定で、来年指名が解禁となるドラフト候補について、その特長と注目ポイントを紹介したい。

片山皓心(投手):Honda(狭山市)

制球力は社会人トップクラスの片山皓心。成長次第ではドラフト上位指名も 【西尾典文】

 安定感ではナンバーワンと言えるのが片山だ。日立一高時代は無名だったものの、桐蔭横浜大で力をつけて4年秋にはリーグ優勝、関東地区大学選手権制覇に大きく貢献。昨年に都市対抗優勝を果たした強豪Hondaで春先からエース格となり、3月に行われた東京スポニチ大会では新人賞を受賞。日本選手権でも見事なピッチングで準決勝進出に大きく貢献した。無駄な力を抜いたフォームで球持ちが長く、ストレートも変化球もコーナー、低めにしっかりと集める制球力は社会人でもトップクラス。1試合を投げ切るスタミナも申し分なく、終盤でも球威が落ちることがない。140キロ台前半のストレートがコンスタントに145キロを超えるようになれば、上位指名も見えてくるだろう。

高野脩汰(投手):日本通運(さいたま市)

 片山以外のサウスポーでは加藤三範(ENEOS/横浜市)、藤村哲之(東芝/川崎市※三菱重工Eastの補強選手として出場)なども注目だが、本大会直前に最も勢いを感じられたのが高野だ。関西大では広島2位の森翔平(三菱重工West/神戸市・高砂市)とともにエース格として活躍し、3年秋には明治神宮大会にも出場。長身から投げ下ろす140キロ台中盤のストレートの角度は抜群で、スピード以上の勢いを感じる。縦のスライダーとチェンジアップの変化も鋭い。都市対抗の二次予選では1試合、2回の登板に終わったが3奪三振をマークし、10月27日に行われた埼玉県会長杯の決勝でもHondaを相手に先発で5回パーフェクトと圧巻の投球を見せた。投手陣の層が厚いチームだけに出番は限られそうだが、スカウトからの注目度は高い。

河野佳(投手):大阪ガス(大阪市)

 右投手で筆頭候補になりそうなのが河野だ。広陵高では2年夏、3年春と2季連続で甲子園に出場。3年春の選抜高校野球では初戦で完封勝利をあげ、最速150キロをマークして注目を集めた。大阪ガスでは1年目から投手陣の一角に定着して、昨年の都市対抗でも登板。今年はエース格へと成長し、日本選手権ではチームを優勝に導きMVPに輝いている。176センチと上背はないものの安定したフォームで、直球はコンスタントに145キロを超える。カーブ、スライダー、カットボール、フォークなど多彩な変化球を操り、同じ球種でもスピードや変化にバリエーションがあるのも持ち味だ。日本選手権に続いて快投を見せることができれば、来年の目玉に浮上する可能性もあるだろう。

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著者プロフィール

1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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