都市対抗に出場するドラフト勢・野手編 広島ドラ6は日本人離れしたパワーが魅力

西尾典文
 11月28日に開幕する第92回都市対抗野球。今年は昨年に続いて東京五輪・パラリンピックの影響で開催がこの時期になったことにより、10月のドラフト会議で指名された来年のルーキーのプレーをいち早く見られる機会ともなっている。そこで今大会に出場予定の14人のドラフト指名選手について、特徴と注目ポイントを紹介したいと思う。今回は6人の野手を取り上げる。

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中村健人(広島3位):トヨタ自動車(豊田市)

広島ドラ3の中村健人は広角に長打を放つ打撃が持ち味 【西尾典文】

 中京大中京高では3年夏に3番・センターとして甲子園に出場。慶応大では2年秋から外野の一角に定着すると、3年秋には5本塁打を放つ活躍を見せてベストナインも獲得したが、4年時に調子を落とし指名は見送られた。トヨタ自動車でも1年目は選手層の厚いチームでなかなか存在感を見せることはできなかったが、今年は打撃の確実性がアップして4番に定着。都市対抗予選の代表決定戦では試合を決める満塁弾を放ち、チームを本大会出場に導いた。たくましい体格で広角に長打を放つ打撃が持ち味。センターから見せる強肩とベースランニングのスピードも光る。昨年の都市対抗では初戦で敗れ、中村自身も出番がなかっただけに、最初で最後となる大舞台でその実力をいかんなく発揮してもらいたい。

水野達稀(日本ハム3位):JR四国(高松市)※四国銀行(高知市)の補強選手

 抜群のスピードとパンチ力が魅力のショート。丸亀城西高時代には3年夏に甲子園に出場。JR四国でも1年目からショートのレギュラーに定着すると、都市対抗では社会人を代表する好投手の守安玲緒(現・三菱重工West)からホームランを放つなど19歳とは思えない活躍を見せた。今年の日本選手権でもロッテ5位の八木彬(三菱重工West)からサヨナラホームランを放っている。171センチと小柄だがフルスイングは迫力十分で、軽々とスタンドまで運ぶ長打力が持ち味。ショートの守備は少し丁寧さに欠ける部分があるものの、素早いフットワークとスローイングの強さは社会人の中でも目立つレベルにある。前述した通り、とにかく大舞台に強いのも大きな魅力であり、今年の都市対抗でも大暴れに期待したい。

野村勇(ソフトバンク4位):NTT西日本(大阪市)

 社会人で大きく成長した内野のユーティリティプレーヤー。高校時代は甲子園出場はなく、拓殖大でも東都二部所属ということもあってそれほど注目される存在ではなかったが、NTT西日本では1年目の春先からレギュラーに定着。昨年の都市対抗では3試合で1安打に終わったものの、セカンドでフル出場しベスト8進出に貢献している。今年は主に4番・ショートでヒットを量産。都市対抗予選では厳しいマークもあって打率1割台と苦しんだが、春先からの活躍を評価されて4位指名された。175センチと大柄ではないが、スタンドまで運ぶパンチ力とスピードが持ち味。内外野を守れる器用さもあり、プロでも1年目から一軍のバックアップとして期待がかかる。

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著者プロフィール

1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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