日本シリーズの次は都市対抗野球! 補強制度や応援合戦など見どころ満載

西尾典文
 11月28日に開幕する第92回都市対抗野球。社会人野球の頂点を決める大会として知られているがその歴史は古く、1927年に「メジャーリーグのように都市を背景にした野球大会を開催する」というコンセプトでスタートした。戦前は日本の占領下にあった台湾や満州(現中国東北部)のチームも参加。第1回から第3回までは満州のチームが優勝している。なお例年であれば7月に開催されているが、昨年と今年は東京五輪・パラリンピックとの兼ね合いで、この時期の開幕となっている。

地区予選では延長18回の激闘も

元DeNAの須田(左)など社会人野球で活躍している元プロも 【写真は共同】

 本大会は昨年の優勝チーム(今大会はHonda・狭山市)と全国の予選を勝ち抜いた計32チームによって行われる。どの地区でも厳しい戦いが繰り広げられるが、中でも過酷なことで知られるのが東海地区だ。現時点で12地区の中でも最多となる12の企業チームが存在し、一次予選を勝ち抜いたクラブチームを合わせた15チームで6つの代表の座を争うこととなっており、敗者復活トーナメントを含めて毎年その戦いは約3週間にもわたって行われる。今年はジェイプロジェクト(名古屋市)が第1代表決定トーナメントで3連勝して出場権獲得に王手をかけながら、その後5連敗を喫して代表権を逃している。特に第4代表決定戦の西濃運輸(大垣市)との試合は延長18回、試合時間6時間55分という死闘だった。
 もちろん過酷な戦いとなっているのは東海地区だけではない。東京地区予選でセガサミーとJR東日本の間で行われた第3代表決定戦も延長18回にもつれ込んでおり(4対3でセガサミーが勝利)、西関東地区予選では歴代2位となる7度の優勝を誇る東芝(川崎市)が、近畿地区予選では歴代3位となる4度の優勝を誇る日本生命(大阪市)がそれぞれ敗退し、本大会出場を逃している。本大会出場を決めた時には涙を流す選手も珍しくなく、大きなプレッシャーの中での試合は見どころ十分だ。

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著者プロフィール

1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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