衝撃移籍のライアン・ロシターに聞く 「最後はチームとして戦うところが勝つ」

宇都宮ブレックスからアルバルク東京に移籍したライアン・ロシター 【©ALVARK TOKYO】

 “超”が付くほどのライバルクラブへの移籍なだけに、このオフの話題を独占したとも言えるのがライアン・ロシターだ。8シーズンを過ごした宇都宮を離れ、アルバルク東京に新天地を求めた。彼のパーソナリティーを知っていれば、その決断が容易ではなかったのは想像に難くないが、高みを常に求めるのもライアンらしい言葉が帰ってきた。単独インタビューから、開幕を直前に控えた気持ちを聞いていく。

移籍の理由は「新しい状況に身を置くことが必要だと感じたから」

 ここ2年ほどでBリーグの選手移籍が加速度的に活発となり、中には大きな衝撃をもたらす驚愕(きょうがく)の発表も目にしてきた。

 6月21日に正式発表されたライアン・ロシターのアルバルク東京入りは、間違いなくその中に入るものの一つだった。

 来日から8シーズン、宇都宮ブレックスという常勝軍団の攻防の核として活躍してきた。外国から来る選手が同一チームにそれほど長く在籍することは希だが、32歳のロシターはコート上でのスキルでのみならず苛烈なリーダーシップで、リーグ屈指の人気球団の魂としてファンからも愛されてきた。

 ロシターも、自身がブレックスとそのファンからどれだけ受け入れられていたかは身に染みてわかっていた。移籍という決断は、当然のことながら、簡単なものではなかった。

「ただチームを出て、新しいチームへ行く。そんな単純なものじゃなかった。ブレックスはファミリーだった。僕自身もマネジメントやコーチなど、すべての人たちと密接な関係を築いていた。素晴らしい関係で、それは今でも変わらないよ」

 彼はそう言う。

 昨シーズン、ブレックスはファイナルで千葉ジェッツと対戦しシリーズは最終第3戦までもつれたが、この試合に敗れリーグ初年度以来の優勝を逃した。王座を奪取してならばまだ良かったが、そうならなかったこともロシターの移籍を苦いものとした。

「このチームで多くの思い出を共有したけど、優勝を逃した後で別のチームへ移ることはつらかったよ」

 ファミリーという言葉をロシターは使ったが、地域に密着して随一の人気球団となったブレックスにはよりそれが合っている。彼はそのファミリーである、チームメートやスタッフたちに、自らの口で移籍の旨を伝えた。

 中でも、田臥勇太や渡邉裕規、遠藤祐亮らとは自身がブレックスに入団した2013−14シーズン以来、苦楽をともにしてきたから、彼らに対しては格別の思いがあった。もちろん彼らにも寂しさはあったであろうが、ロシターを快く送り出してくれたという。

「ナベ(渡邉)に『申し訳ないけど移籍することになったんだ』と伝えたら『謝ることなんてないよ。君とはとても良い時間を過ごしたしね』と言ってくれたんだ。僕の移籍のことをとても喜んでくれた」

2013年にブレックスに加入し、8年間主力として活躍した 【写真:アフロスポーツ】

 ブレックスに入る橋渡しをしてくれた田臥との関係は特別なもので、2人でチームの象徴としてクラブの文化を作ってきた。動揺を隠せない様子だったという田臥も、決断を支持してくれたそうだ。

「ユータも『君が幸せなら僕も幸せだよ』と言ってくれた。密接な関係を築いたチームメートの下を離れるのは簡単じゃない。だけど一方で、僕らは皆、大人だし、彼らも僕がこれまでの8年間、目標に向かってこれ以上ないほどハードにプレイしてきたことを知っているから、僕のこれからの活躍を願ってくれた」

 彼は、こうも続けた。

「昨シーズンに入るにあたって移籍のことなどはまったく頭になかった。考えていたのはブレックスで優勝することだけだったし、実際あと少しでそれが実現できるところまで行った。ただ状況が一気に変わり、8年プレイしてきた僕としてもここで自分を新しい状況に身を置くことが必要だと感じたから、こうした決断となったんだ」

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