連載:#BAYSTARS - 横浜DeNAベイスターズ連載企画 -

「新しいことをやらないと生き残れない」 ベイスターズとガンダム、型破りな仕掛け

中島大輔

ベイスターズ木村洋太球団社長(写真左)と、バンダイナムコエンターテインメント宮河恭夫社長(写真右)が業界の垣根を越えて“エンタメ”を語り合う 【スリーライト】

 エンターテインメント業界で「横浜」にゆかりがある2つの企業。2011年12月に球界参画して10周年になるのが横浜DeNAベイスターズ。一方、「機動戦士ガンダム40周年プロジェクト」を立ち上げたバンダイナムコエンターテインメントは全高18メートルの「動くガンダム」を横浜・山下ふ頭で公開している。そんな縁もあって今回、ベイスターズの木村洋太社長とバンダイナムコエンターテインメントの宮河恭夫社長の対談が実現。群雄割拠のエンタメ業界で成功するための秘訣(ひけつ)などを語り合った。(取材日:7月9日)

「新参者」が業界を成長させる

――ベイスターズは球界参入からの10年をどう振り返り、未来に向けて進んでいこうと考えていますか?

木村 球界参入からここまではベイスターズをリブランディングしてきたところです。少しずつファンの皆様に受け入れていただき、なんとなく自分たちのアイデンティティーが見えてきたのが今のタイミングですね。我々は「新参者」と言いますか、事業的にもチーム的にも一番下から他に追いつくという立ち位置だったので、いろいろチャレンジをしやすかったです。

宮河 固定観念って、業界に新しく入ってきた人たちにしか壊せないんですよね。僕は「新参者」が大好きです。

木村 ありがとうございます。

宮河 僕もガンダムシリーズに途中から携わりました。だから壊すことができたんです。

――宮河社長はアニメやゲームのプロデューサーだったキャリアを活かし、『機動戦士ガンダムSEED』のアニメ音楽だけでライブイベントを開催するなど業界の固定観念を壊してガンダム事業を成長させました。

宮河 最初からそこにいる人には、絶対壊せないですからね。だから、業界に新しく入ってくる人はすごく大事。しかもベイスターズはそれで成功されているからすごいですよ。

木村 おっしゃっていただいたように観客動員も増えて、黒字も作って、「うまく成功した」と見ていただいている部分は多いと思います。ともすれば、社内でも「この延長線上で少しずつ良くしていけばいいよね」という感覚になりかねない状況だとなんとなく肌で感じていました。それが球団10周年とコロナ禍がちょうど同じタイミングで来て、何かプラスアルファを探していくきっかけになったと感じています。

リアルとデジタルをどうかけ合わせるか

昨年、新たな試みの一つとして満を持して登場した「バーチャルハマスタ」は、次世代型のスポーツ観戦として注目されている 【(C)YDB】

宮河 コロナでライブエンターテインメントのあり方は本当に変わりましたね。弊社は音楽のライブをネット配信し始めましたが、最初は無観客のライブを映像で映しているだけでした。ただ、それだけだと少し物足りない印象を受けました。そこで、ステージ背景を合成でどんどん変える演出をするなど、リアルでは絶対できないエフェクトをデジタルでは積極的にやりました。「デジタルも楽しいじゃん」って思わせる方法が、この1年でだんだん見えてきた感じがします。

木村 弊社もKDDIとのビジネスパートナーシップによる連携で「バーチャルハマスタ」という、バーチャル空間上に横浜スタジアムを作り、ファンの皆様に新しい観戦体験を楽しんでもらう試みを始めました。球場の観客席からは見えない裏側の映像を見られるようにするなど、家にいるからこその新しい観戦体験をもっと提案できるように社内で協議しています。

宮河 例えば北海道の人が、日本武道館のライブに行くのはハードルが高いですよね。行くだけで数万円、チケットで8000円くらいかかるのが、デジタルなら家のPCで接続すれば見られます。チケット代も4000円とか格安。今まで「行こうかな、どうしようかな」と思っていた人が、かなり飛び込みやすくなるのがデジタルのいいところです。

木村 確かにそうですね。

「コロナ禍の1年、ライブエンターテインメントのあり方は変わった」と話す宮河氏。リアルとデジタルの融合が加速する 【(c) BANDAI NAMCO Entertainment Inc.】

宮河 野球と音楽で一つだけ違うことがあります。野球は球場にリアルなお客さんがいても、テレビ中継が以前からありました。我々のライブはほとんど中継がない。コロナ禍になってお客さんを入れられないからネットで配信するという新たなアプローチができて、世界がまったく変わりました。例えばアイドルが歌っているステージの裏側までドローンを飛ばしたら、めちゃくちゃカッコいい映像ができました。お客さんがいるライブでは、そんなことはできません。思い切ったことをやった方が“答え”が見つかる気がします。

木村 テレビ中継では球場にカメラを数百台置いたとしても、番組制作のスイッチャーが判断した1画角が中継映像として映し出されます。規制との兼ね合いもありますが、例えばファウルポールにカメラを設置するなどいろんな画角のカメラを用意して、見たい映像を視聴者に選んでもらうという新しい楽しみ方は出てくるはずですね。横浜スタジアムを“世界一カメラの多い球場”にしたいという思いはあります。

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著者プロフィール

中島大輔

1979年埼玉県生まれ。上智大学在学中からスポーツライター、編集者として活動。05年夏、セルティックの中村俊輔を追い掛けてスコットランドに渡り、4年間密着取材。帰国後は主に野球を取材。新著に『プロ野球 FA宣言の闇』。2013年から中南米野球の取材を行い、2017年に上梓した『中南米野球はなぜ強いのか』(ともに亜紀書房)がミズノスポーツライター賞の優秀賞。その他の著書に『野球消滅』(新潮新書)と『人を育てる名監督の教え』(双葉社)がある。

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