連載:#BAYSTARS - 横浜DeNAベイスターズ連載企画 -

「新しいことをやらないと生き残れない」 ベイスターズとガンダム、型破りな仕掛け

中島大輔

とにかく「バッターボックスに立て」

「動くガンダム」の公開、プロスポーツ事業への参入など、挑戦をやめない宮河氏を突き動かす原動力とは 【スリーライト】

宮河 弊社は2019年からBリーグ・B1の島根スサノオマジックの経営に参画しています。先日、うちの社内に作ったデジタル専用のスタジオから新入団選手の発表会を行うと、バスケ界では異例だったようで大きな反響でした。ぜひ木村社長もYouTubeで見てみてください。
木村 拝見させてもらいます。発表会一つでも、常識にとらわれないわけですね。もしかするとスポーツ業界全体が、おそらく競技中心の発想になりすぎているのかもしれません。

宮河 きっと、もっと面白い演出や見せ方をすることはできるのかなと。Bリーグはエンターテインメント性が強いので、今後も何か新しいことに挑戦していけたらいいなと思っています。

木村 バンダイナムコエンターテインメントさんはガンダムという巨大コンテンツがありながら、それでも新たに面白いものを作っていくという社風はみんなにあるのですか? 宮河社長がグッと引っ張っているのか、社内の随所でそういう方たちがたくさんいるのでしょうか。

宮河 結構いるし、そういう風土にしようと思っています。僕が一番嫌いなのは減点主義。会社は大きくなると減点主義になりますが、そうすると「やらない方がいい」となる。やらなければ失敗しませんからね。だから加点主義にしています。失敗を認めてあげて、「バッターボックスに立て」と言う。みんなが、自ら手を挙げるという企業文化は絶対必要です。そうしないと、バッターボックスの手前にあるウェイティングサークルにも入らない人がいますから。

新しいものを生み出すための組織風土作りについて率直な意見を交わし合ってくれた木村氏(写真左)・宮河氏(写真右)の両社長 【スリーライト】

木村 社員がバッターボックスに立つ機会は会社があげるのですか。それとも自分で作るところから始まるのか。

宮河 両方です。たぶん、自分で作る方が圧倒的に多いと思いますね。エンターテインメントには何か決まりがあるわけではありません。バンダイナムコエンターテインメントが出すゲームの新製品・サービスは年間20〜30点程度だけれども、バンダイは年間1万4500点くらい出ます。そうすると、ものすごくバッターボックスに立っているわけです。そこには自然と自分が立っていくと思います。そうしないと、アグレッシブにならない。「いつまでもガンダムをやっていたら面白くならない」と思わせる風土を作っていくことは大事です。

木村 それはすごいですね。

宮河 「新しいことをやらない人は生き残れない」と絶えず言っています。同じことをやってもつまらないですからね。「ガンダムって、君が作ったものではないでしょ?」って。自分が何かを作り出さないとダメです。

木村 すごく刺さる言葉です。みんな社内で「メインストリーム」と呼ばれるところに行きたがるけど、それはすでにでき上がっている部分がありますよね。

宮河 メインストリームに行くと辛いですよ。売り上げにしても、やって当たり前ですから。逆にやらないと、「仕事ができない人間」だと思われかねない。それより、「メインストリームなんて嫌だ」と受け止めた方がいいと思います。会社にはそこを背負う人もいてくれないと困るけれど、「人と違うことをやる方が大切だ」と言い続けています。

(企画構成:株式会社スリーライト/撮影協力:GUNDAM FACTORY YOKOHAMA)

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木村洋太(きむら・ようた)

株式会社横浜DeNAベイスターズ代表取締役社長。2007年東京大学工学系研究科航空宇宙工学専攻修士課程修了。同年、米系経営戦略コンサルティングファームBain and Company東京支社に入社。2012年株式会社横浜DeNAベイスターズに入社。その後、事業本部チケット営業部部長、経営戦略・IT戦略部部長、執行役員事業本部本部長、取締役副社長を歴任。2021年4月より現職。

宮河恭夫(みやかわ・やすお)

株式会社バンダイナムコエンターテインメント代表取締役社長。2000年代『機動戦士ガンダムSEED』シリーズや、『機動戦士ガンダム00』シリーズを手がけ、ガンダムアニメ30周年時の「GREEN TOKYO ガンダムプロジェクト」を経て、2014年より「一般社団法人ガンダムGLOBAL CHALLENGE」代表理事として「動くガンダム」を企画し、先導。2020年に「GUNDAM FACTORY YOKOHAMA」に「動くガンダム」を公開。2019年4月1日より現職。

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著者プロフィール

1979年埼玉県生まれ。上智大学在学中からスポーツライター、編集者として活動。05年夏、セルティックの中村俊輔を追い掛けてスコットランドに渡り、4年間密着取材。帰国後は主に野球を取材。新著に『プロ野球 FA宣言の闇』。2013年から中南米野球の取材を行い、2017年に上梓した『中南米野球はなぜ強いのか』(ともに亜紀書房)がミズノスポーツライター賞の優秀賞。その他の著書に『野球消滅』(新潮新書)と『人を育てる名監督の教え』(双葉社)がある。

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