稲本潤一が語るプロ25年目のシーズン ユーロ2020の注目選手や優勝予想も
イングランドに注目も、優勝予想はベルギー!?
――新型コロナウイルスの影響で1年延期となっていたユーロ2020が開幕しましたが、ここまで印象に残った試合やプレーなどはありますか?(注:インタビューは6月14日に実施)
まだ、序盤で番狂わせもないですが、イングランドの初戦を見て(1-0でクロアチアに勝利)、すごくいいサッカーをしているなと思いました。僕がイングランドにいたときは、まだキック&ラッシュの時代で、そこで記憶が止まっていただけかもしれませんが……(笑)。でも、久しぶりに見たら、しっかり後ろからボールをつないでいましたし、(ラーヒム・)スターリングがゴールしたシーンもそうでしたが、スピード感がありましたよね。ロシアW杯で準優勝したクロアチアに勝ったことで波に乗れるでしょうし、大会を盛り上げてくれる存在になるような気がします。
――気になる選手はいましたか?
スターリング、(メイソン・)マウントも良かったですが、21歳の(フィル・)フォーデンは注目ですね。惜しいシュートもありましたが、パンチ力があってスピードもある。(マンチェスター・シティで戦った)チャンピオンズリーグでもいいプレーを見せていましたけど、今回のユーロをキッカケに一気にワールドクラスの選手になっても不思議じゃないと思います。
ベルギーはケガで(ケビン・)デ・ブライネを欠き、エデン・アザールも終盤に10分ほどプレーしただけでしたが、彼らに頼らずに初戦でロシアに3-0で快勝ですよね。僕のなかではFIFAランキング1位のベルギーが優勝候補というか、優勝してほしいと思っています。デ・ブライネやE・アザールら黄金世代と呼ばれた選手たちも、優勝を狙えるのは今回がおそらく最後でしょうし。E・アザールはケガがちでコンディションが心配されているようですが、あれだけの選手ですから最後は調整してくる気がします。それにベルギーは初戦3バックで戦っていましたが、なかなか大きな国際大会で3バックで優勝したチームってないですよね。そこも少しに気になっています。
――3バックが気になる?
僕はヨーロッパで9年間、7チームでプレーしましたが、一度も3バックを経験しませんでした。だからからか、日本に戻ってきて3バックでやるチームが多い中、どこかで3バックの可能性を信じられなかったというか。それこそ、日本に戻ったときはトルシエさん時代の‟フラット3”以来の3バックでしたから(苦笑)。
例えば、札幌はミシャさん(ミハイロ・ペトロヴィッチ監督)のもと、3バックでもいいサッカーをやっていますが、ベルギーに3バックでもビッグタイトルを取れるんだと証明してほしいというか、それがどう実践されるのかということにすごく興味を持っています。
日本代表にとってもセンターバックの強さは長年課題でしたし、3バックはそれを補えるシステムでもある。3バックのチームの成功は、日本代表にとっても可能性を広げることになるかもしれないですからね。
(取材・文:栗原正夫)
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