ドイツで確実に実績を築く堂安律 他の有力クラブでプレーする可能性
躍動感あふれるプレーでビーレフェルトをけん引する堂安律 【Getty Images】
今季の堂安のプレーパフォーマンスとチーム内における役割を、ビーレフェルトはどう評価しているのか? ドイツの一地方クラブで残留死守が至上命題でもあるクラブ側の事情、そしてドイツのサッカーシーンにおける堂安への客観的な評価を踏まえて、継続して取材を続ける現地ドイツ人記者が、日本代表MF堂安律の現在地と未来への展望を綴(つづ)る。
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1部昇格組にもたらされた最重要戦力
その時の主力の一人だったMFジョナタン・クラウスはダイナミックな攻撃力で右サイドに欠かせない選手だった。しかしクラウスはブンデスリーガでプレーできるにもかかわらず移籍を選択し、今シーズンが始まる前に故郷フランスのリーグアン、RCランスへ移籍金なしで去って行った。
なぜここでクラウスの話をするのか? それはクラウスの移籍によって、ビーレフェルトの強化担当であるサミール・アラビに移籍市場でクラウスより良い、もしくは同価値の代理選手を見つけるミッションが課せられたからである。しかしビーレフェルトの財政状況はこれを困難にしていた。新型コロナウイルスの影響もあり、移籍金のかからない選手を獲るか、レンタル選手を確保するのがやっとの予算しかない。
そこでアラビの目に留まったのはオランダのPSVアイントホーフェンに所属する堂安律だった。堂安は同じくオランダ・エールディビジのFCフローニンゲンで素晴らしい2シーズンを過ごした後、完全移籍先のPSVでは満足いくプレー機会を得られていなかった。それに加えて、昨夏からPSVを率いるドイツ人監督のロガー・シュミットが用いるシステムでは堂安の使い道がないとも判断されていた。したがって堂安のビーレフェルトへのレンタルは両クラブと選手本人のいずれにとってもメリットがあった。堂安はトップリーグの一つで経験を積んで次シーズン以降へのプレーアピールができ、ビーレフェルトは予測される厳しい残留争いに向けて高質な選手を安価で借りることができる。PSVのシュミット監督も、かつて自身が現役時代にプレーし、いくつかのクラブで監督も務めた母国ブンデスリーガの環境を熟知しているだけに、熱心に堂安へビーレフェルトへの期限付き移籍を勧めたという。
アラビは、自分の釣りざおにかかった魚がどんなに大きいかを理解していたのだろう。彼は堂安のことを「ライバルたちの大きな船と残留競争をするうえで、ビーレフェルトという小さなゴムボートのモーター」と称した。ビーレフェルトの他の期限付き移籍選手であるセルヒオ・コルドバ(←アウクスブルク)とアルネ・マイアー(←ヘルタ・ベルリン)の説得力に欠ける出来を見るにつけ、結果的に堂安はチームにとって大きな強化材料になったと言える。
勝敗を左右する存在に
貴重なゴールでチームを勝利に導くことで、内外の信頼を得られた 【Getty Images】
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