連載:2020年シーズン スポナビ的Jリーグアウォーズ

フリーク平畠啓史&土屋雅史のJ2総括 上位から下位まで徹底的に振り返る

飯尾篤史
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リカルド・ロドリゲス体制4年目の徳島が継続の強みを見せ、7シーズンぶりにJ1昇格を成し遂げた 【(C)J.LEAGUE】

 新型コロナウイルス感染拡大防止のためにリーグが中断し、J1参入プレーオフが廃止された20年シーズンのJ2リーグ。過密日程のなかJ1昇格を勝ち取ったのは、徳島ヴォルティスとアビスパ福岡だった。そこで今回は、業界きってのJ2フリークであるタレントの平畠啓史氏とサッカー番組のプロデューサーである土屋雅史氏に20年シーズンのJ2を振り返ってもらう。第1部はリーグ全体の総括だ。昇格した徳島と福岡の強さの要因はなんだったのか。サプライズを起こしたチーム、21年シーズンへの期待を抱かせたチームはどこなのか。

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小林監督、田坂監督の引き出しの多さ

J2リーグを徹底的に観戦した平畠氏(左)と土屋氏が20年シーズンのJ2を総括する。言葉の端々ににじみ出るJ2愛を感じてもらいたい 【飯尾篤史】

――新型コロナウイルスの感染拡大の影響によってイレギュラーなシーズンとなりましたが、おふたりは2020年のJ2に、どんな印象を持たれていますか?

平畠 チームの個性がすごくはっきりしていて面白かったですね。徳島ヴォルティス(1位)のように攻守に渡ってアグレッシブなチームもあれば、アビスパ福岡(2位)のように堅守のチーム、V・ファーレン長崎(3位)のようにボールをしっかり保持して崩していくチームもあった。かといえば、栃木SC(10位)のようにストーミングじゃないですけど、プレスを掛けていくチームもあって、それぞれの戦い方にカラーがあったなと。

土屋 平畠さんのおっしゃる通りで、上位、下位に関係なく、このチーム、この監督はこういうサッカー、というのがしっかり見えましたよね。その色分けはもしかすると、J1やJ3よりもはっきりしているんじゃないかと。あと、監督の方々のキャラもめちゃくちゃ立っているので、試合後のインタビューを見るのも楽しかったです。

――そのなかでも20年シーズンを盛り上げたチームというと?

土屋 前半戦は完全にギラヴァンツ北九州(5位)ですよね。去年のJ3を見ていなかった方々は、監督が小林伸二さんだから守備に偏ったサッカーをやるんじゃないか、と想像していたと思うんですよ。でも、攻撃に舵を振り切ったサッカーで、前半戦を1位で終えた。所属選手も、J2を長く見ている人にとっても、あまり知らない選手ばかりだったと思うんですけど、あれだけの成績を残したことは、もっと評価されていいんじゃないかと思いますけどね。

平畠 小林伸二さんの話を聞く機会があったんですけど、「このメンバーで何ができるか」ということをすごく仰っていて。だから、あのメンバーに合うのが、あのサッカーだったんだと思います。小林監督の引き出しの多さや懐の深さ、サッカーに対する考え方に改めて感服しましたね。それは栃木の田坂和昭監督に関しても同じで。今の栃木のサッカーが田坂監督のすべてじゃなく、ほんの一部だと思うんです。いろんな引き出しを持っていると思うから、次はどんなサッカーを見せてくれるのか、すごく楽しみですね。

――最終的に徳島が優勝し、福岡が2位となりました。全体の順位の印象はどうでしょう? 想像どおりだったのか、北九州以外にサプライズ的な躍進があったのか。
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著者プロフィール

東京都生まれ。明治大学を卒業後、編集プロダクションを経て、日本スポーツ企画出版社に入社し、「週刊サッカーダイジェスト」編集部に配属。2012年からフリーランスに転身し、国内外のサッカーシーンを取材する。著書に『黄金の1年 一流Jリーガー19人が明かす分岐点』(ソル・メディア)、『残心 Jリーガー中村憲剛の挑戦と挫折の1700日』(講談社)、構成として岡崎慎司『未到 奇跡の一年』(KKベストセラーズ)などがある。

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