空前の当たり年から4人の識者が厳選 「J1ルーキー限定ベストイレブン」
これほどルーキーが輝いたシーズンも珍しいだろう。その代表格で、川崎FのJ1制覇に尽力した三笘は、リーグMVP級のハイパフォーマンスを披露した 【(C)J.LEAGUE】
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三笘はJ1史上最強のルーキーか
週刊サッカーマガジン元編集長。J元年の93年にベースボール・マガジン社に入社。以来、サッカー畑一筋。13年10月末に退社し、現在はフリーランス。著書に『サカマガイズム』、名波浩氏との共著に『正しいバルサの目指し方』など。
シャドーの位置に、三笘&旗手という川崎Fの強力タッグを並べた北條氏のルーキーベストイレブン。3バックにも攻撃力が光るタレントをそろえた 【Getty Images】
ポジションを問わず、攻撃力を優先した人選である。その好例がGKだ。出場数では小畑裕馬(仙台)が上を行くが、着目したのは現代的なパッシング・キーパーとしてのポテンシャル。その点において良質のキックを操り、攻撃の基点となったオビ(・パウエル・オビンナ)のインパクトは大だった。
バックスも攻撃力が光る顔ぶれ。中央の田中はボランチも兼ねる展開力を備え、札幌の主軸に収まった優等生。右の森下は大胆な攻撃参加を繰り返し、鳥栖の貴重な攻め手になった。左にはレフティーの高嶺朋樹を。FC東京の中村帆高も捨てがたいが、中盤の一角もこなす高嶺の汎用性の高さと縦への推進力を買った。
ボランチはG大阪の新たな司令塔として立ち回った山本と、FC東京の苛烈なプレスマシンと化した安部のペア。両翼は右に金子、左に松尾を据えた。左利きの金子は切れ味鋭い業師、松尾は瞬時に敵の防壁を破壊する音速の狩人として大暴れ。フィニッシャーとしても優秀だった。
1トップには突貫小僧の林を。ボールに食らいつく気迫と執念はケタ違い。荒削りだが、ホットな点取り屋として頭角を現した個性派である。その背後に常勝・川崎Fの強力タッグを並べたい。三笘と旗手だ。
旗手は両翼からインサイドMF、サイドバックに至るまで幅広く適応したマルチ職人。決定機に絡む力も十分だった。大トリは三笘である。左の外から華麗優美に仕掛け、鮮やかにフィニッシュへ持ち込む技量は別次元。J1の年間MVPに選出されても不思議のないパフォーマンスを演じた。それこそ、J1史上最強のルーキーか。
ともあれ、多士済々の顔ぶれ。ここに荒木遼太郎(鹿島)や瀬古樹(横浜FC)といった逸材たちを加えられなかったのは残念至極。ただただ己の力不足を恥じるばかり……。
突出していた安部と山本のパフォーマンス
チーム戦術やプレー分析を得意としており、その対象は海外サッカーから日本の育成年代まで幅広い。サッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』で現在は日本代表を担当。著書に『サッカーの見方が180度変わるデータ進化論』など。
河治氏選出のベストイレブンも11人全員が大卒ルーキー。ただし、鹿島の高卒ルーキー、荒木や、鳥栖のアカデミーから昇格した本田も高く評価する 【Getty Images】
それだけ2020年が大卒選手の当たり年だったということであり、また高卒やユースからの昇格1年目で大卒選手に割って入るのは簡単ではないということだ。
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