選手権から一転、プロ生活は困難の連続… アデミール・サントス「バチが当たったのかな」
サントスは笑って振り返るが、一時は大好きだったサッカーが嫌いになるほど追い詰められた 【栗原正夫】
まだプロ化の見えない時代に来日しながら、将来サッカー選手としてお金を稼ぎ、家族を楽にしたいとの思いでサッカーに打ち込んできたサントスにとって、Jリーグの誕生は願ってもないチャンスだった。
「ヤマハに残ってほしいと言われたけど、清水には高校時代にお世話になった人がたくさんいたし、早くプロになってより多くのサラリーを手にできる方を選択せざるを得なかった。のちに、ヤマハもジュビロ磐田としてJリーグ入りすることになったけど、当時はそんなこともわからなかったから」
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アデミール・サントスは東海大一を卒業後、日本リーグのヤマハを経て、92年に清水エスパルスへ移籍した 【写真:本人提供】
「ヤマハに失礼なことをしたから、バチが当たったのかな」
いまでこそ笑って振り返るが、一時は大好きだったサッカーが嫌いになるほど追い詰められた。
大きく立ちはだかったのは、外国人枠の問題だった。
サントスはヤマハから清水へ移籍する際の交渉時に、自身の出場機会を求め、清水が多くの外国人選手を獲得するつもりがないことを確認していたという。
しかし、清水はJリーグ初年度の92年、元ブラジル代表のエメルソン・レオンを監督に招聘(しょうへい)すると外国人出場枠が3人のところ(登録は5人まで)、大量7人ものブラジル人選手を獲得している。
「ブラジルから5人も6人も選手が来れば、試合に出るのは簡単じゃない。私は日本で契約したけど、代理人を通して海外から大金をかけて獲得した選手がいれば、クラブはそっちの選手を使いたがる。私との契約の際、外国人は3人しか取らないと言っていたのに、すべてデタラメだったんです」
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