川崎が強い。えげつないほど強い 最強を通り越してJリーグ“史上最恐”か

北條聡

Jリーグ新記録の10連勝を達成するなど、J1首位を快走する川崎フロンターレ。死角は見当たらない。どこまで強くなるのか 【(C)J.LEAGUE】

 夢か現か、嘘か真か。

 J1リーグで首位を突っ走る川崎フロンターレがスゴいことになっている。何しろ強い。とにかく強い。もう、えげつないほど強いのだ。

02年王者・磐田に匹敵、あるいはそれ以上か

 証しのひとつと言えば、同一シーズンの新記録だろう。リーグ戦の再開後、他クラブが未曽有の過密日程に苦しむ中、やすやすと10連勝を達成。それだけでも十分に驚きだが、さらに衝撃的だったのがド派手な勝ちっぷりだ。

 怒濤(どとう)のゴールラッシュである。

 10連勝のうち、3点以上を奪った試合が7試合、さらに5点以上を奪った試合が3試合。ただ勝ち続けたのではない。対峙(たいじ)する相手を木っ端微塵に打ち砕いてきたわけだ。

 敵地で防戦に徹した名古屋グランパスに0-1と敗れ、連勝こそ止まったが、いまだ勢いは止まらない。清水エスパルスを5-0、昨季王者の横浜F・マリノスを3-1と蹴散らし、圧倒的な強さを見せつけた。15試合を消化し、総得点は44。つまりは、1試合平均でほぼ3ゴールをたたき出している計算だ。もう、圧巻と言うほかない。

 四半世紀に及ぶJリーグの歴史を紐解いても、現在のフロンターレをしのぐチームがあったかどうか。いまだ史上最強との評価が根強い2002年の王者ジュビロ磐田に匹敵する強さ、あるいはそれ以上かもしれない。もちろん、現時点で比べれば――というただし書きはつくが。

エセ強者の軟弱さが微塵もない

破壊力抜群の攻撃陣をけん引する家長昭博。2・6・7月の月間MVPに選ばれた 【(C)J.LEAGUE】

 破格の得点力が示す通り、最強フロンターレの表看板はアタッキングフットボールだが、優美華麗なイメージとは対照的な隠れたすごみがある。敵のボールを容赦なく刈り取っていく苛烈な守備だ。守りに回るや、全員が鎖のようにつながって失ったボールの即時奪回を試みる。それも、敵陣の深い位置から――である。

 そこでボールを奪えば敵のゴールは目前。効率よくフィニッシュまで持ち込める。雪崩を打つようなゴールラッシュの伏線がここにあるわけだ。ミドルゾーンから敵陣に踏み込み、攻守の切れ目を作らず、一気呵成(かせい)に獲物を仕留めてしまう。思えば、最強ジュビロもそうだった。

 逆に自分たちは激しいプレスを浴びても、悠々とかいくぐり、敵陣に攻め込んでいく。ボールがあろうとなかろうと、フロンターレの意のままにゲームが進んでいくのだから、相手はたまったものではない。攻めに回れば強いが、守りに回るともろいチームはごまんとあるが、そうしたエセ強者の軟弱さが微塵もないのだ。

 ボールを持ったら前へ、相手ボールでも前へという押しの一手だけなら、まだ対策の施しようもある。その点、フロンターレはしたたかだ。必要なら、ミドルゾーンから後方でブロックを組み、がっちり守ることもいとわず、そこから逆襲へ転じる選択肢を手放さない。戦況に応じて、臨機応変に立ち回られてはお手上げだろう。

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