合同練習会で評価を上げた選手は? ドラ1候補からサプライズまで勢ぞろい

西尾典文

野手で評価を上げたのは?

野手で評価を上げた筆頭格の上田西・高寺。シート打撃では5安打を放ち、軽快な守備も見られた 【写真は共同】

 投手に比べるとアピールに成功した選手が少ない印象の野手だが、そんな中でも高い打撃技術を見せたのが中山礼都(中京大中京)と高寺望夢(上田西)のショート2人だ。

 中山はフリー打撃から高いミート力を披露。一回り目では左方向、センター、右方向と順番にライナーを打ち分け、次の順番では外野後方へ大きいフライを連発するなど、他の打者がヒット性の当たりを放つのに苦労する中で、レベルの違いを見せつけた。シート打撃ではヒットこそ出なかったものの、7打席で5四球を選ぶなどボールの見極めも見事だった。

 高寺もフリーバッティングから鋭いライナー性の当たりを連発。シート打撃でも6打数5安打2四球と圧倒的な結果を残してみせた。無駄な動きがなく、内側から鋭く振り出すスイングは出色で、木製バットでも140キロ台のスピードに対応することができる。また走塁面のスピードでも目立った。

中日の投手・翔を兄に持つ青藍泰斗・石川。シート打撃ではレフトスタンドに本塁打を放つなど、パワーを見せつけた 【写真は共同】

 長打力で光ったのが石川慧亮(青藍泰斗)だ。173cmながらたくましい体つきでフリー打撃では2本の柵越えを放ち、シート打撃でも大学生投手からレフト中段まで運んで見せた。リストの強さだけでなく、下半身の安定感も申し分なく、軽く振っているようでもヘッドの走りは速い。外野からの強肩でも目立った。

 事前の情報が乏しい中でサプライズと言える活躍を見せたのが寺本聖一(広島商)だ。昨夏の甲子園ではベンチ外で、レギュラーとなったのは秋からだが、シートノックではライトから見せる強肩、バッティングでは広角に長打を放つバッティングで西日本会場の野手では圧倒的なインパクトを残した。シートノックでひときわ大きな声でアピールする姿勢に好感を持ったスカウトも多いはずだ。

 参加する選手のレベルに差があり、またプログラム的にも物足りない点もあったことは否めないが、このような取り組みが行われたことは大きな前進であることは間違いない。来年以降も改善しながら継続してくれることを切に願いたい。

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著者プロフィール

1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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