合同練習会はNPBスカウトにも好評 “当落線上”の選手が素材の良さ見せる
初の試みとなった合同練習会。ドラフト有力候補の中山、土田(写真右から)が実力を発揮する一方で、“当落線上”に位置する選手たちの躍動も目立った 【写真は共同】
これは新型コロナウイルスの影響で各種大会が中止となり、実力をアピールする機会を失った選手を救済するために行われた初の試み。プロ入りを目指す77人の高校生のプレーに、NPBスカウトや大学・社会人・独立リーグの関係者ら約100人が連日スタンドから熱視線を送った。
1人だけプロレベルの強肩示した外野手
なかでも素材の良さを感じさせたのが、中堅手の西川拓馬(柳ヶ浦)。マウンドに上がれば140キロ超のストレートを投げ込む強肩から繰り出す送球の強さは群を抜いていた。世代トップクラスの選手が集っていると言っても、外野からのバックホームで他の選手の送球は“高校生のもの”だったが、1人だけプロレベルの強い送球を披露した。
2日目はシートノックの後、シート打撃が行われた。カウント1-1から投手は5人の打者と対戦し、打者は3打席に立った。
投手で最大の注目だった山下舜平大(福岡大大濠)は、投球練習から140キロ台後半のストレートを連発し最速は150キロを計測。入りや決め球にカーブを使う組み立てで3つの三振を奪い、うわさに違わぬ実力を披露した。
「真っすぐも見てもらいたかったですし、カーブの使い方も見てもらいたかった。三振はカーブに助けられて取れました。真っすぐとカーブを軸にしながら、いろいろな良い先輩方から吸収して、上のレベルで勝負していきたい」
もう1人の注目投手、加藤翼(帝京可児)もノビ、キレともに抜群の快速球で猛アピール。突如降った強い雨の影響で室内練習場での登板となったが、「真っすぐだけは誰に負けないつもりで3年間やってきました。『ここに来る以上は自信のある球で』と思っていました。(雨で登板時間がズレて)調整は難しい中でしたけど、しっかり投げられたので自分としては良かったと思います」と充実感をにじませた。
身長169センチと小柄ながらパンチ力を秘める左打者の寺本は、逆方向の左中間を破る力強さと、変化球を拾ってセンター前に運ぶうまさを披露。
「自分の力を発揮でき、プロのスカウトの方に良いアピールができたと思います。シート打撃で1打席目は打った後、一塁へ走るのを忘れるくらい集中していました」
来年以降も「継続できるよう協力」
西日本地区は聖地・甲子園で行われ、連日スカウトの熱い視線が注がれた。東日本地区は9月5、6日に東京ドームで行われる予定。普段高校野球が行われないドームでどうなるのか、楽しみにしたい 【写真は共同】
この日をきっかけに指名される、指名順位が上がる選手が1人でもいれば、プロ・高校生の双方にとってメリットが大きい。9月5、6日には東日本会場として東京ドームでも合同練習会が開催の予定。今回の西日本同様、熱いアピール合戦が期待される。
(取材・文:小中翔太/ベースボール・タイムズ)
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