ミラノ五輪出場枠がかかる世界選手権を展望 4連覇目指す坂本「自分自身の底上げを」、鍵山はマリニンに挑む
ベテランの坂本・樋口、若手の千葉が出場
ミラノ・コルティナ五輪の出場枠は、今大会に2人/2組以上出場している国の場合、その順位合計(3人/3組出場している国の場合は、上位2人/2組の順位合計)が「13」以内であれば、最大の3枠が獲得できる。
女子シングルでは、4連覇がかかる坂本花織に注目が集まる。ミラノ・コルティナ五輪へのステップと位置づける今季、ショートプログラムでは競技プログラム初となるタンゴに挑戦し、フリーでは苦手意識のあったルッツを昨季までの1本から2本に増やしている。シーズンが進むにつれて演技が安定してきており、昨年12月の全日本選手権では貫禄の滑りをみせて優勝。全日本選手権後の世界選手権代表会見では、世界選手権に臨む意気込みを語った。
「自分の最終目標は、オリンピックでメダルをとること。この世界選手権では、それに向けて自分が今できることを精いっぱいやりたい。最近、ロシアが(五輪に)帰ってくるというニュースも見たので、『日本はこれだけ強いぞ』というのを見せられたらなと思っている。少しでも、自分自身の底上げをしていけたら」
国際大会で無敗だった昨季とは異なり、今季の坂本は昨年12月のグランプリ(GP)ファイナルで1位のアンバー・グレン(アメリカ)・2位の千葉百音に次ぐ3位、今年2月の冬季アジア大会ではキム・チェヨン(韓国)に次ぐ2位だった。すべての試合に優勝候補と目されて臨む重圧は、察するに余りある。
それでも昨年11月のGPシリーズ・NHK杯で坂本がマークした合計231.88は今季最高得点であり、やはり世界女王の存在感は絶大だ。真価が問われる世界選手権で、ディフェンディングチャンピオンはどんな滑りを見せるのか。
千葉百音は昨季に続き、2回目の世界選手権出場となる。今季のGPシリーズでは安定感のある演技を見せ、ファイナルでは銀メダルを獲得。全日本選手権ではフリーでの転倒が響いて4位だったが、GPファイナルでの好成績が評価され世界選手権代表に選ばれた。世界選手権代表会見では、「今できる自分の最大限の、納得できる演技ができるように」と大舞台への意気込みを語った。
「そしてオリンピックの年に向けて3枠しっかり確保できるように、しっかりと全力を尽くしたいと思います」
しかし、連覇がかかっていた2月の四大陸選手権では、胃腸炎の影響で力が出し切れず6位。このところ悔しい試合が続いているが、世界選手権では7位だった昨年の経験も糧にして会心の演技を見せてほしい。
2022年北京五輪代表の樋口新葉は、復活のシーズンを送っている。北京五輪後の2022-23シーズンは右すね疲労骨折の影響もあり、2022年9月のロンバルディア杯出場後、残りのシーズン全休を発表。競技会に復帰した昨季を経て、今季はGPファイナルに進出、全日本選手権では3位と本来の強さを見せている。全日本選手権後の世界選手権代表会見では、次のように語った。
「この全日本でしっかり世界選手権に出るという目標を達成できたのはすごく嬉しいんですけど、しっかりそこで結果を残すことが大事になってくると思うので。気を引き締めて、さらにレベルアップした演技ができるといいなと思います」
四大陸選手権で5位に入った樋口は、今季はトリプルアクセルを封印して完成度の高い演技を目指している。2018年には銀メダルも獲得している世界選手権で、ベテランらしい強さを見せてほしい。
ベテランの坂本・樋口と、既に世界大会のメダルを複数獲得している千葉が実力を出せれば、ミラノ・コルティナ五輪の出場枠最大3を確保することができるはずだ。