怪物マシンをねじ伏せたセナ、プロストら 90年代F1ドライバーに魅了される理由

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“F1黄金時代”復活なるか

F1 70周年記念GP決勝で優勝フラッグをうけるフェルスタッペン。現在にも個性的なパーソナリティーを感じるドライバーは存在する 【写真:代表撮影/ロイター/アフロ】

 さまざまな個性を持つドライバー、さまざまな個性を持つマシン……しかもそのカラーリングは実にカラフルで、そんな新たな世界を、日本人はまざまざと見せつけられた。その全てが、宝石箱のようにキラキラと輝いて見えた。

 しかし、現代のドライバーが無個性になったわけではもちろんない。レッドブルのマックス・フェルスタッペンやメルセデスのルイス・ハミルトン、アルファロメオのキミ・ライコネンなど、魅力的なパーソナリティーを持つドライバーは今もたくさん存在する。無線交信などを通じて、その個性的なパーソナリティーを感じることができる。

 また今のマシンは、強力なパワーユニットを搭載しており、さらに計算され尽くした車体を持っている。90年代前半と比較すれば、ラップタイムが10秒近く速くなっているサーキットもある。まさに史上最速、より凶暴な怪物となっているのだ。

 一方で、今のF1はそうした魅力が見えづらい状況にあると感じる。空力的に過敏となったマシンは接近戦を許さず、マシンやタイヤから得られるさまざまなデータがドライバーに最適なドライビングを強制する。コース上でのオーバーテイクは少なくなり、マシンの信頼性も上がってレース中のドラマは減った。

 レギュレーションは複雑になり、レースを楽しむためには事前の知識とレース中に得られるさまざまな情報を理解する必要が生まれた。80〜90年代に比べれば、情報過多になったのかもしれない。ただそれも、F1という“生き物”が70年かけて成し遂げてきた進化の結果なのだろう。

 F1はこれまでの成長を踏まえた上で、新たな試みを行い、その魅力を高めようとしている。

 2022年には、F1に新たなレギュレーションが導入される。新型コロナウイルスの影響により導入が1年遅れたものの、70年代後半から80年代前半まで使われたグラウンドエフェクトと同じような考え方がF1に復活し、接近戦が可能になる予定だ。

 ホンダが2015年にF1に復活し、昨年からはレッドブルとともにレースに勝てるようになってきた。歴史は繰り返されるとするならば、ドライバーたちがその魅力を存分に発揮する“F1黄金時代”がまた訪れることを期待してもバチは当たらないだろう。

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