「君がいてくれて本当によかった」 引退のカシージャスに感謝と惜別の言葉

エルゴラッソ

ポルトガルへの移籍と引退

多くの大舞台でビッグセーブを披露してきた。気づけば「聖人」という愛称までつけられるようになった 【写真:ロイター/アフロ】

 レアル・マドリードでは空前絶後のパフォーマンスを記録した偉大な守護神だったが、フロレンティーノ・ペレス会長との不和もあり、2015年夏にマドリーを退団。活躍の場をFCポルトに移した。

 年齢はすでに34歳と、キャリアのピークは過ぎていたかもしれないが、それでも素晴らしいプレーを変わらず披露。2015-16シーズンに行われたCLグループステージのチェルシー戦では、史上最多出場記録を更新する152試合目の出場を果たす。また同年の10月の第3節マッカビ・テルアビブ戦で同大会51回目のクリーンシートを達成。こちらも最多記録を更新した。

 年齢を重ねいぶし銀の活躍を見せるシュートストッパーだったが、キャリアの終了を決定づける事件が発生する。2018-19シーズンもリーグ戦に31試合出場するなど、コンスタントに出場機会を得ていたが、2019年5月、チームの練習中に急性心筋梗塞で倒れてしまった。命に別状はなく、日常生活は何不自由なく過ごすことができるようだが、アスリートとしてプレーを続けることは困難と判断された。

 最終的に2019-20シーズンの出場はなく、既に引退は決定的だったが、本人からの発表はなく2020年6月末にポルトとの契約は終了。そして冒頭の通り8月4日に本人からも引退の発表が行われた。

多くのレジェンドたちから惜別の声

 偉大なレジェンドが、実力とは無関係の病気がきっかけの引退ということもあり、なおさら惜別の声が世界中から集まった。

 2000年代には特にしのぎを削り合い、「21世紀最高のゴールキーパー」の座を争ったユベントス所属の元イタリア代表GKジャンルイジ・ブッフォンは「競争することで成長するというのはまさにそうで、自分自身に向き合うだけでは完璧ではない。最高の状態を無駄に思えるくらい追い求めたからこそ、今の僕たちがいるんだ。イケルにありがとうと伝えたい。君がいてくれて本当によかった」と感謝の気持ちをコメントしている。
 また、昨年までヴィッセル神戸に所属し、スペイン代表ではチームメートでもあったダビド・ビジャは「スペインのフットボールにたくさんの貢献をありがとう、キャプテン。あなたの伝説は永遠に語り継がれるし、私はその伝説の一部に関われて嬉しい。あなたの新しいキャリアがとても良いものになりますように」と謝辞を述べている。
 ピッチ内でカシージャスのスーパーセーブをもう見られないのは非常に寂しいが、サッカー界から離れるわけではない。引退後のカシージャスは、レアル・マドリードでアドバイザー職に就くと見られている。今後は、豊富な経験を生かしてピッチ外からチームにどう関わっていくのか。引退後も目の離せない存在である。

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著者プロフィール

サッカー新聞エル・ゴラッソ。通称エルゴラ。国内外の最新サッカーニュースを日本代表の番記者、J1・J2全40クラブの番記者、海外在住記者が、独自の現地取材をもとに、いち早くお届けします。

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