連載:闘魂60周年記念、アントニオ猪木が語る3つのターニングポイント

勝ち名乗りで両手を上げて敵から英雄へ パキスタンの観衆が猪木の虜になった瞬間

茂田浩司

猪木イズムは「分からないからこそ面白い」

――確かに(笑)。

 そういうね、逆に言えば「客に媚(こ)びる」ということがなかったんで。

――黙って俺についてこいと。

 要するに「見たくないヤツは見るな」で、今のプロレスを俺は見なくなってしまった。一切、さわらないということになったのは「媚びるプロレス」。その媚び方もいろいろあるんだけどね。1つのパフォーマンスとしてはあるんだけど、まあ俺はプロレスは卒業したんで、あんまりプロレスの話はしたくないんでね(苦笑)。

――承知しています。ただ、アリ戦が象徴的ですが「当時は酷評され、後に偉業として評価される」ことに対して、どんな思いを持っておられるのかが気になります。

 人が理解することじゃつまらないでしょう! 「分かりました」って簡単に言われてしまうようなことよりも、分からないからこそ面白いんで。

――猪木イズムですね。

 今回のプラズマの件(水プラズマで世界中からゴミをなくす活動を行っている)だって「なんで猪木がプラズマなの?」って散々言われて、最近になって「ああ、プラズマってすごいんですね」って(苦笑)。だから、人が分かった時はもう遅いんですよね。元々、人まねは嫌いだしね。

――常に新しいものを求めてきた猪木さんらしいです。ちなみに、2014年のパキスタン訪問時にペールワン一族と再会して、その末裔のハルーン・アビッド君を日本に呼び、レスリングをさせたのは猪木さんだそうですね。

2017年10月21日に両国国技館で行われた『INOKI ISM.2〜アントニオ猪木生前葬〜』大会では、ペールワン一族の末裔ハルーン・アビッド(左)をリング上で紹介した 【写真提供:コーラルゼット】

 そうですね。

――日体大では世界ジュニア選手権男子フリースタイル97キロ級で2位に入るなど好成績を残し、オリンピック出場を目指しているとか。

「オリンピックを目指したい」とアメリカとかロシアへ修行に行きたいと相談されたんだけど。俺はアマチュア関係はよく知らないんだけど、いっそ彼はプロになった方が早いんじゃないかと思っていてね。パキスタンという国が何を望んでいるかといえば、過去の勲章、オリンピックでメダルを獲ったのどうのは関係なしで、ヒーロー像を望んでいるんでね。

――ペールワン一族との縁を大切にしているんですね。

 もし、誰かがしっかりとついてあげてプロモーションをすれば、プロとして活躍できるんじゃないかと思っているんだけどね。こればかりは本人が決めることだから。

(企画構成:有限会社ライトハウス)

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