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横浜ダービーだから…中町公祐は望む
先人の思い、歴史を背負って、熱い戦いを

横浜FCは理想貫くのか、現実的になるか

横浜FCの注目は一美和成(左)と斉藤光毅の若き2トップ。J1王者の牙城を崩せるか
横浜FCの注目は一美和成(左)と斉藤光毅の若き2トップ。J1王者の牙城を崩せるか【写真:森田直樹/アフロスポーツ】

――昨季J1王者に挑む横浜FCの現状はいかがですか?


 2トップの斉藤(光毅)君と一美(和成)君は若いだけあって、機動力が目につきます。斉藤君はちょこちょこしていて面白い存在。そんなに大きくないけど、うまく体を入れながらボールを保持している印象ですね。12日のベガルタ仙台戦でゴール前でターンしてシュートを決めた一美君にしても、イマジネーションが感じられる。チームとしてチャンスは少ないかもしれないけど、若い彼らには得点機をモノにできる可能性がある。そういう意味では期待したいですね。


――大卒ルーキーの瀬古樹選手らを含めて、イキのいい若手の存在がひとつのウリです。


 でも横浜FCは、後ろの方にはGKの六反(勇治/仙台戦で負傷)や南雄太さん含めて経験ある選手を置いてますよね。ボールを保持したいという意図も感じられます。下平(隆宏)監督も自分たちのつなぎやポゼッションがJ1王者相手にどれだけできるかにトライしたいのかなと。今はコロナの影響からか、J1全体的にサッカーがゆっくりになっていますから、『意外にボールが持てる』という状況になるかもしれない。ただ、ハイラインのマリノスは高い位置に人数が残っていることが多い。そこで奪ったら一気にゴールということもあり得ます。横浜FCとしては、ポゼッションの理想を貫くのか、マリノスとの力関係を考えて現実的になるのか、という選択を迫られる可能性も少なからずありそうです。


――この大一番で、大ベテランの中村俊輔選手を満を持して先発起用してくることも考えられます。


 俊さんは横浜FC移籍直後の昨年夏の天皇杯3回戦で横浜ダービーを戦ってますよね(横浜FMが2-1で勝利)。そういう意味では慣れているだろうけど、お客さんが3〜4万人いる環境とはまた違う部分もあるかもしれない。マリノスの選手にしてみれば、『俊さんに自分たちのやってるサッカーを見てもらいたい』というシンプルな気持ちが強いでしょう。ポステコグルー監督も『自分たちのサッカーを貫け』というのがモットーだし、人に対してのアプローチはあまりしないので。ただ、リスタートは要注意。シゲさん(松永成立GKコーチ)が中心となってケアすると思う。俊さんはワンチャンスを確実に決めてきますからね。

「Fの歴史」が存在する特別な一戦

――目下、中位にいる両者にとっては、弾みをつける上でも重要な一戦になります。


 現場は間違いなくそう考えているでしょう。特に歴史あるダービーですからね。ダービーというのはチームやサポーター、数々の名だたるプレーヤーの上に成り立っている。そこはまず忘れてほしくないところです。


 マリノス側から見れば『久しぶりにJ1に上がってきた横浜FCに負けていられない』という気持ちがあるだろうし、横浜FC側には『J1王者に目の色を変えて勝ち星を取りに行くんだ』という激しい感情が湧き上がってくる。しかも両者の間には『Fの歴史』も存在する。マリノス、横浜FCともにフリューゲルス時代から応援されている方もたくさんいる。やはり特別に格式のある一戦なんです。


――横浜FMのホームゲームでは、キックオフ前に栄光の歴史と伝統を伝える映像が大型ビジョンに流されます。そうやって見る人がクラブへの理解を深めてこそ、ダービーの価値が高まりますよね。


 そうですね。僕自身は横浜ダービーを経験したことはないですけど、アビスパ福岡時代にサガン鳥栖との九州ダービーを戦ったことがあります。そのときも『鳥栖だけには絶対に負けないでくれ』とサポーターに強く言われた記憶があります。マリノスと横浜FCにはクラブ規模などの格差があるから、マリノスのサポーターは『横浜FCには負けないでくれ』とは言わないでしょうけど、因縁めいたものがあるのかな。若い選手含めて、両チームの歴史をあらためて知るいい機会にしてほしい。選手たちにはその重みを背負った上で全力を出してほしいと強く願います。

元川悦子
元川悦子

1967年長野県松本市生まれ。千葉大学法経学部卒業後、業界紙、夕刊紙記者を経て、94年からフリーに。Jリーグ、日本代表、育成年代、海外まで幅広くフォロー。特に日本代表は非公開練習でもせっせと通って選手のコメントを取り、アウェー戦も全て現地取材している。ワールドカップは94年アメリカ大会から5回連続で現地へ赴いた。著書に「U−22フィリップトルシエとプラチナエイジの419日」(小学館刊)、「蹴音」(主婦の友社)、「黄金世代―99年ワールドユース準優勝と日本サッカーの10年」(スキージャーナル)、「『いじらない』育て方 親とコーチが語る遠藤保仁」(日本放送出版協会)、「僕らがサッカーボーイズだった頃』(カンゼン刊)、「全国制覇12回より大切な清商サッカー部の教え」(ぱる出版)、「日本初の韓国代表フィジカルコーチ 池田誠剛の生きざま 日本人として韓国代表で戦う理由 」(カンゼン)など。「勝利の街に響け凱歌―松本山雅という奇跡のクラブ 」を15年4月に汐文社から上梓した

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