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2020年Jリーグ新人・若手の活躍は?
“久保世代”も続々スタメンに定着

苦境に直面も結果を出したA代表経験者の上田綺世

 2019年12月のEAFF E-1選手権(釜山)でA代表デビューを果たしている田中駿汰(札幌)もまだ定位置をつかんだとは言い切れない。先輩・鈴木武蔵に「彼はすごくいい選手。特に際立っているのが配球のセンス。今、どこに出すのがベストかという選択が瞬時にできるし、キックを蹴る直前に判断を変えられる。攻撃センスはミシャ式サッカーにすごく合っている」と言わしめたポテンシャルの持ち主だが、プロの壁に苦しんだ格好だ。


 それでも12日の湘南ベルマーレ戦では3バックの中央に陣取る形で先発フル出場。白星こそ手にできなかったが、相手を零封し、「監督からも『自信を持って、慌てずやればいい』と声をかけてもらっていたので、自信を持ってできたかなと思う」とようやく手ごたえをつかんだ。さらに18日のベガルタ仙台戦ではプロ入り初ゴールをゲット。着実に状態は上向いている。ここからが本当の勝負と言っていい。


 同じA代表経験者である上田綺世(鹿島)も苦境に直面した。再開2戦は出場機会がなく、3戦目の浦和レッズ戦でやっと23分間ピッチに立ったものの、彼自身ノーゴールで、鹿島自体も最下位と足踏み状態を強いられた。「今の鹿島は成功体験が必要。1つ勝てれば勢いも生まれるし、自信にもつながる。自分がそこに貢献できる存在になりたい」と中断期間にも語っていただけに、焦燥感や悔しさも覚えたことだろう。その思いを今季初先発となった18日の横浜F・マリノス戦で爆発させ、ついに2ゴールを奪い、ザーゴ新監督体制初白星の原動力となった。エヴェラウドや伊藤翔らとのポジション争いはこの先も厳しいが、得点を奪い続けることで、未来は開けてくるはず。これを機に、一気に存在感を高めてほしいものである。

衝撃デビューの櫻川ソロモン

センセーショナルなデビューを飾ったジェフ千葉の櫻川ソロモン。高さと強さを兼ね備えた1トップもこなせる選手
センセーショナルなデビューを飾ったジェフ千葉の櫻川ソロモン。高さと強さを兼ね備えた1トップもこなせる選手【(C)J.LEAGUE】

 一方のJ2だが、有望な新人が何人か出現しつつある。直近のゲームでセンセーショナルなデビューを飾ったのが、ジェフユナイテッド千葉の大型FW櫻川ソロモン。15日のツエーゲン金沢戦でプロ初先発のチャンスを得た彼は、190センチの長身を駆使した打点の高いヘディングで相手GKに競り勝ち、こぼれ球を自ら押し込むという豪快なゴールでチームの勝利を呼び込んだ。


 尹晶煥監督は鳥栖時代に豊田陽平、セレッソ大阪時代に杉本健勇(現浦和)を1トップに固定させた通り、競り合いに強い長身FWを最前線に据えるのを好む。今回の活躍で櫻川に同じような役割を与える可能性も高まったのだ。日本サッカー界には彼のような高さと強さと鋭さを持ち合わせた1トップが少なかっただけに、このままブレークしてくれれば朗報だろう。

 目下、J2トップを走るVファーレン長崎の大卒新人FW毎熊晟矢、ギラヴァンツ北九州の攻撃をリードするFW佐藤亮も存在感を高めつつある選手。毎熊はJ2再開後はコンスタントに最終ラインの一角を担い、手倉森誠監督からの信頼を勝ち取った状態だ。15日のFC琉球戦ではゴールも決め、今後の伸びしろが期待される。佐藤も4日の琉球、10日のファジアーノ岡山戦と2戦連続で途中出場からゴール。


 FC東京U-18から明治大学時代にかけて長く一緒にプレーした安部に「亮の2得点は刺激になりますし、自分も結果を出さないといけない」と言わしめるほどのインパクトをもたらした。今季セレッソ大阪で活躍中の坂元達裕のように1年でJ2からJ1に“個人昇格”する選手もおり、彼らのモチベーションも高いはず。そういう逸材をJ2・J3で見つけるのもまた一興だ。


 新型コロナウイルス感染拡大によってイレギュラーな形が続く今季Jリーグだが、ピンチをチャンスに変えられる選手がブレークできるはず。そういうタフさと泥臭さを前面に押し出し、Jリーグのスターダムにのし上がるのは一体誰なのか。東京五輪代表争いを含めて、新人たちの一挙手一投足をより一層、興味深く見極めていきたい。

元川悦子
元川悦子

1967年長野県松本市生まれ。千葉大学法経学部卒業後、業界紙、夕刊紙記者を経て、94年からフリーに。Jリーグ、日本代表、育成年代、海外まで幅広くフォロー。特に日本代表は非公開練習でもせっせと通って選手のコメントを取り、アウェー戦も全て現地取材している。ワールドカップは94年アメリカ大会から5回連続で現地へ赴いた。著書に「U−22フィリップトルシエとプラチナエイジの419日」(小学館刊)、「蹴音」(主婦の友社)、「黄金世代―99年ワールドユース準優勝と日本サッカーの10年」(スキージャーナル)、「『いじらない』育て方 親とコーチが語る遠藤保仁」(日本放送出版協会)、「僕らがサッカーボーイズだった頃』(カンゼン刊)、「全国制覇12回より大切な清商サッカー部の教え」(ぱる出版)、「日本初の韓国代表フィジカルコーチ 池田誠剛の生きざま 日本人として韓国代表で戦う理由 」(カンゼン)など。「勝利の街に響け凱歌―松本山雅という奇跡のクラブ 」を15年4月に汐文社から上梓した

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