連載:Bリーグ特別対談

BリーグとJリーグを代表する司令塔が対談 篠山竜青(川崎)×遠藤保仁(G大阪)

ダブドリ編集部

遠藤選手の著作を読んでから、なるべく試合中は何も考えないで感じるままにプレーすることができるようになりました(篠山)

遠藤選手へのリスペクトから、篠山選手は試合中に髪をゴムで留めている 【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】

――お2人とも司令塔的なポジションをされていますが、司令塔をやる上での極意を教えていただけますか? 篠山選手は遠藤選手の「先を読んで動いていればダッシュする必要はない」という理論をバスケで実践しようとしているとお聞きしたのですが。

篠山 ダッシュは絶対にしなきゃダメです(笑)。ただ、遠藤選手が「先を読んで次はこうなるだろうというのがわかるようになると、動き出しを早くすることができて、その分運動能力が高い選手に対しても先回りできる」とインタビューで言っているのを読んで、これは絶対バスケットにも置き換えてやることができるなと感じたんです。自分の中でも無意識にやらなければいけないことだと思っていたはずですが、そのインタビューを読んで、改めて自分の武器にしていけるなと感じました。

――その他に篠山選手が司令塔として大事にしているものはありますか?

篠山 いかにコートを俯瞰(ふかん)で真上から見られるかというのは大事だと思います。コートを俯瞰(ふかん)で見ることで、仲間の4人だけじゃなく相手の動きも読む。そこが成熟していくと、自分だけじゃなくて仲間も相手チームも9人全員をコントロールできるような感覚が研ぎ澄まされていくんです。

――なるほど。いかがですか、遠藤選手?

遠藤 はい、僕もそんな感じです(笑)。

一同 (笑)。

――やっぱり味方の動きから敵の動きまで見えるものなんですね。

遠藤 見る努力はしていますが毎回は見られないので、その回数を増やしたいなと思っています。周りの選手を操ったもん勝ちなので、そのためにはまず見なきゃいけない。じゃあどこから見るのかと言ったら、上から見た方が圧倒的にわかりやすい。

――そういう能力って、年を経るごとに上がっていくものなんですか?

遠藤 歳を取ると経験を積んである程度有利にはなるんですけど、今度は頭の反射神経だとか動体視力だとかが落ちていく。その落ちる速度を極力落とすというのは、今までやってきた経験と、あとは意識で変わると思います。歳を取れば取るほど差が出やすいので、そこで勝負していくためには若いときから鍛えることが重要だと思います。

篠山選手は遠藤選手の著作から、試合に対するアプローチを学んだ 【画像:スポーツナビ】

――篠山選手は「自分は考えすぎてしまうが、遠藤選手の著作を読んで、むしろできるだけ捨てていく方がいいと思うようになった」と何年か前のインタビューで仰っていました。

篠山 20代の中盤は、すごく高いレベルで司令塔としてのゲームコントロールを求められていたこともあり、それに対して自分でいろんなことを考えすぎてしまって本来の自分のプレーができないという期間が長かったんです。そんなときに(遠藤選手の)本を読んで「こういう考え方の方が強いんだろうな」と思いはじめてから、なるべく試合中は何も考えないで感じるままにプレーしようとするようになりました。それまでは試合前のルーティンが結構多かったんですけど、そういうのもやめて、その日その日でやっておこうかなと思うものをやっています。そういうやり方にしてからの方が調子がいいんです。

――著作を読んだ選手がこの境地にいたってますけど、書いたご本人である遠藤選手どうですか?

遠藤 世の中いい人いますね。

一同 (笑)。

遠藤 僕の考え方が全てではないですけど、実際そういう風に試してもらっているというのは、本当にありがたいですよ。

――本当は遠藤選手にコツを聞こうと思っていたんですけど、まさか篠山選手が本だけでその境地にたどりついているとは。

遠藤 さすがです。まあコツも何もないですけどね。

――考えないって、結構難しくないですか?

遠藤 そうですね。どうしてもいろんなことが入ってくる。難しいですけど、でも楽しくやっていれば自然とそうなりますよ。

――なるほど。楽しめているか楽しめていないかが基準になる。

遠藤 はい。楽しくやっていれば、絶対にいいプレーができていると思います。

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著者プロフィール

異例の超ロングインタビューで選手や関係者の本音に迫るバスケ本シリーズ『ダブドリ』。「バスケで『より道』しませんか?」のキャッチコピー通り、プロからストリート、選手からコレクターまでバスケに関わる全ての人がインタビュー対象。TOKYO DIMEオーナーで現役Bリーガーの岡田優介氏による人生相談『ちょっと聞いてよ岡田先生』など、コラムも多数収載。

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