連載:肉体派アスリートの「トレーニングメソッド」

十種競技・右代啓祐が覚醒させた鋼の肉体 日常をトレーニングに変える思考の転換力

C-NAPS編集部
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陸上・十種競技で日本の第一人者として君臨し続ける右代啓祐に、その類まれな肉体を形成するトレーニングについて聞いた 【写真:本人提供】

 走る・投げる・跳ぶに関する10種目の総合力を競い、五輪でも最上級の身体能力を誇る選手たちがエントリーする陸上・十種競技。王者は「キング・オブ・アスリート」と呼ばれるなど超人たちが集う競技だが、海外選手に引けをとらない体格で日本の第一人者として世界と戦い続ける男がいる。右代啓祐(国士舘クラブ)だ。

 2012年のロンドン五輪に日本選手として48年ぶりの出場を果たし、16年のリオデジャネイロ五輪では日本代表の旗手を務めるなど、「競技の顔」である右代。19年の世界陸上では開幕直前に出場内定を取り消されたものの、推薦枠で出場を決めたニュースも記憶に新しい。この先に見据えるのはもちろん、21年の東京五輪でのメダル獲得だ。

 33歳にして195センチ94キロ、体脂肪率4%という類いまれな肉体を誇る右代は、日々どんなことを意識してトレーニングに臨んでいるのだろうか。「日常生活の中でトレーニングを見つけるアイデア」というユニークな発想や、コロナ禍に実践した「愛娘トレーニング」や「公園トレーニング」についても聞いた。

武井壮に教わった「動きのイメージ」で身体能力が開花

円盤投げを筆頭に、自慢の上腕二頭筋を最大限に活用する投げの種目は右代の得意分野だ 【写真:ロイター/アフロ】

 僕の自慢の筋肉は「上腕二頭筋」、つまり力こぶの筋肉です。何も持たなくても、腕を曲げるだけでボコッと盛り上がるんですよ。携帯をいじるだけでもそうなりますね(笑)。十種競技の中では投げる種目が得意で、特に円盤投げにおいてこの筋肉を生かせていると感じています。タンクトップを着た時にも見た目が映えますし、ユニフォームから上腕二頭筋がのぞいている自分の写真を見ると、ついニヤニヤしちゃいます(笑)。

 一方で苦手なのは走る種目ですね。克服するために速い人の動きを参考にして、上半身と下半身がどのようにして連動しているかをひたすら動画などで研究していますね。足の筋肉だけでは走れないし、腕の筋肉だけでも走れないからこそ連動が重要です。動きのタイミングを何度も確認して、試してという試行錯誤を繰り返しています。

 僕は最初から身体能力が高かったと思われがちですが、そうではなくコンプレックスを抱いていた時期もありました。「なんで体が大きいのに速く走れないんだ」とか、「うまく力が伝わらないんだ」と自問自答していましたね。でも大学生の時の、元十種競技日本チャンピオンでタレントの武井壮さんとの出会いが、僕を変えてくれました。
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著者プロフィール

ビジネスとユーザーを有意的な形で結びつける、“コンテキスト思考”のコンテンツマーケティングを提供するプロフェッショナル集団。“コンテンツ傾倒”によって情報が氾濫し、差別化不全が顕在化している昨今において、コンテンツの背景にあるストーリーやメッセージ、コンセプトを重視。前後関係や文脈を意味するコンテキストを意識したコンテンツの提供に本質的な価値を見いだしている。

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