開幕から3戦連続中止の国内女子ツアー 新型コロナがゴルフ界に与える影響
昨年は「黄金世代」が活躍。写真は左から渋野日向子、原英莉花、新垣比菜 【Getty Images】
しかし、今年は様相が一変している。新型コロナウイルスの拡大で、国内女子ツアーの初戦、沖縄で開催される「ダイキンオーキッドレディスゴルフトーナメント」(3月5〜8日)の中止が2月28日に発表された。2月19日に無観客試合で開催することがいったんは決められていたものの、政府のイベント自粛要請など国をあげての感染予防対策に協力する観点から、試合自体の中止が決定した。さらに2試合目の「明治安田生命レディスヨコハマタイヤゴルフトーナメント」(13〜15日)、3試合目の「Tポイント×ENEOSゴルフトーナメント」(20〜22日)も中止になった。
大会準備にかかった費用は無駄に
これだけ多くの人が関係する大会に関わる費用は膨大である。費用で明確なのはプロの賞金である。2020年の賞金ランキング対象のJLPGAツアーは、東京五輪の開催に伴い、2競技減の37試合が予定されている。その賞金総額は39億3500万円。大会によっても違うが、1試合当たり1億円以上になる。今回中止になった開幕3試合の賞金は、ダイキンオーキッドが1億2000万円、明治安田生命レディスヨコハマタイヤは8000万円、Tポイント×ENEOSは1億円、合計総額は3億円である。そして、トーナメント1試合にかかる費用は、この賞金総額の3倍程度と言われている。大会が中止になり、賞金は出ないにしても準備にかかった費用は無駄になる。また、戦う女子プロにしても、この賞金総額の分だけ収入が減るし、トーナメント関係者やギャラリーなどが、会場に移動するための交通費、宿泊費などの経済的な損失は数億円と推定される。
注目度が高かった今年の女子ツアー
また、夏に東京五輪を控え、これからの大会が出場権獲得のためのランキングに影響することで、女子世界ランキング(3月10日時点)上位の5位・畑岡、12位・渋野、14位・鈴木の成績が注目を集めていた。そして、黄金世代の次の「プラチナ世代」と呼ばれる安田祐香、吉田優利、昨年アマチュアで優勝した古江彩佳らが今年からプロとして参戦するなど、若手の活躍も期待されている。これだけ注目の集まっている女子ゴルフツアーが開幕から3戦連続中止となった。
初戦のダイキンオーキッドのテレビ放映枠はそのままで、過去の優勝の振り返りや、渋野日向子の昨年の活躍を放映していた。試合が実施されれば、視聴率は高かったに違いない。昨年は「しぶこ」フィーバーが起きてからは視聴率が2桁を超え、ツアー最終戦の最終日の視聴率は13.6%(関東地区)であった。高い視聴率を期待していたテレビスポンサーにとって中止は残念なことである。それだけではない。ゴルフトーナメントが中止となれば、ゴルフ関連のニュースが少なくなり、ゴルフに行きたくなるというゴルフマインドも減少する。