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開幕から3戦連続中止の国内女子ツアー
新型コロナがゴルフ界に与える影響
昨年は「黄金世代」が活躍。写真は左から渋野日向子、原英莉花、新垣比菜
昨年は「黄金世代」が活躍。写真は左から渋野日向子、原英莉花、新垣比菜【Getty Images】

 例年3月は日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)のゴルフトーナメントが華やかに開幕し、ゴルファーの気分も盛り上がってくる時期。いよいよ春のゴルフシーズンの到来である。


 しかし、今年は様相が一変している。新型コロナウイルスの拡大で、国内女子ツアーの初戦、沖縄で開催される「ダイキンオーキッドレディスゴルフトーナメント」(3月5〜8日)の中止が2月28日に発表された。2月19日に無観客試合で開催することがいったんは決められていたものの、政府のイベント自粛要請など国をあげての感染予防対策に協力する観点から、試合自体の中止が決定した。さらに2試合目の「明治安田生命レディスヨコハマタイヤゴルフトーナメント」(13〜15日)、3試合目の「Tポイント×ENEOSゴルフトーナメント」(20〜22日)も中止になった。

 

大会準備にかかった費用は無駄に

 ゴルフトーナメントは、前年のトーナメントが終了した時点から、実績を踏まえて翌年のトーナメントに向けての準備が始まる。一つの大会には、JLPGA、主催者、後援の地元自治体や企業、企画運営会社、トーナメントを中継するテレビ関係者、ボランティアなど多くの企業や人が関わり、1年間をかけ大会に向けて準備を進める。また、大会のチケット販売にも多くの企業や地元のゴルフ関係者が協力して大会を盛り上げていく。会場を訪れる多くのギャラリーのために輸送用バス、休憩や食事を取るためのギャラリープラザ、観客席、トイレなど、快適にトーナメントを見てもらうための準備もしている。一つの大会の関係者は延べ1000人以上にものぼる。例えば、昨年のダイキンオーキッドのボランティアは4日間で延べ490人であった。ギャラリー入場者数も4日間で1万4350人と前年を1000人近く上回る盛況であった。


 これだけ多くの人が関係する大会に関わる費用は膨大である。費用で明確なのはプロの賞金である。2020年の賞金ランキング対象のJLPGAツアーは、東京五輪の開催に伴い、2競技減の37試合が予定されている。その賞金総額は39億3500万円。大会によっても違うが、1試合当たり1億円以上になる。今回中止になった開幕3試合の賞金は、ダイキンオーキッドが1億2000万円、明治安田生命レディスヨコハマタイヤは8000万円、Tポイント×ENEOSは1億円、合計総額は3億円である。そして、トーナメント1試合にかかる費用は、この賞金総額の3倍程度と言われている。大会が中止になり、賞金は出ないにしても準備にかかった費用は無駄になる。また、戦う女子プロにしても、この賞金総額の分だけ収入が減るし、トーナメント関係者やギャラリーなどが、会場に移動するための交通費、宿泊費などの経済的な損失は数億円と推定される。

注目度が高かった今年の女子ツアー

 特に今年の女子ツアーは注目度が高かった。最大の注目は、昨夏に全英女子オープンで日本人42年ぶりの海外メジャー制覇を果たした渋野日向子。インパクトのある明るい笑顔に海外メディアも「スマイリングシンデレラ」と名付け、「しぶこ」フィーバーが起こった。さらに昨シーズンは渋野と同じ年代の「黄金世代」が飛躍。日本女子オープン・日本女子プロの国内メジャーで2勝した畑岡奈紗、同じく2勝の勝みなみ、初優勝をあげた河本結、原英莉花、小祝さくらのほか、優勝経験のある新垣比菜、大里桃子らが活躍。渋野と鈴木愛、申ジエによる三つ巴の賞金女王争いは最終戦までもつれた。


 また、夏に東京五輪を控え、これからの大会が出場権獲得のためのランキングに影響することで、女子世界ランキング(3月10日時点)上位の5位・畑岡、12位・渋野、14位・鈴木の成績が注目を集めていた。そして、黄金世代の次の「プラチナ世代」と呼ばれる安田祐香、吉田優利、昨年アマチュアで優勝した古江彩佳らが今年からプロとして参戦するなど、若手の活躍も期待されている。これだけ注目の集まっている女子ゴルフツアーが開幕から3戦連続中止となった。


 初戦のダイキンオーキッドのテレビ放映枠はそのままで、過去の優勝の振り返りや、渋野日向子の昨年の活躍を放映していた。試合が実施されれば、視聴率は高かったに違いない。昨年は「しぶこ」フィーバーが起きてからは視聴率が2桁を超え、ツアー最終戦の最終日の視聴率は13.6%(関東地区)であった。高い視聴率を期待していたテレビスポンサーにとって中止は残念なことである。それだけではない。ゴルフトーナメントが中止となれば、ゴルフ関連のニュースが少なくなり、ゴルフに行きたくなるというゴルフマインドも減少する。

嶋崎平人
嶋崎平人

1976年ブリヂストン入社。1993年からブリヂストンスポーツでクラブ・ボールの企画開発、広報・宣伝・プロ・トーナメント運営等を担当、退職後、ライターのほか多方面からゴルフ活性化活動を継続。日本ゴルフジャーナリスト協会会員。

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