一児の母・安藤美姫が語る、コロナ禍での子どもとの向き合い方

いとうやまね

コロナ禍において、母親としてどう子どもと向き合っているのか、Zoomにて取材に応じてくれた安藤美姫さん 【いとうやまね】

 安藤美姫、32歳。2度の世界一に輝いたフィギュアスケーターは、現在プロとして数々のアイスショーに出演し、またタレントとしての顔も持つ。そして、7歳のひとり娘の母親でもある。常に前向きな姿勢で、プライベートもSNS上に公開している安藤だが、コロナ禍での毎日をいかに過ごしているのか、母親としてどうお子さんと向かい合っているか、前後編2回にわたって語ってもらった。

 前編は、お嬢さんとのコロナに関するやり取りや予防、非日常下における生活、学校の勉強、家での遊びについて。同じように小さなお子さんを持つ親御さんへのメッセージも届けてくれた(インタビュー取材は5月1日にオンラインで実施)。

優しさや思いやりの大切さを伝えたい

――新型コロナウイルスに関して、7歳のお嬢さんにはどのように説明をされていますか? 季節も良いし、お外で遊びたい盛りだと思います。

 娘は小学校1年生なので、ある程度の会話はできます。なので「お外に出たら痛い痛いになっちゃうんだよ」といった簡単な言葉で話すようにしています。それは自分だけのことではなくて「ママやおばあちゃん、お友達を、怖いお病気から守るためでもあるんだよ」と。この状況下でも、優しさや思いやりの大切さを伝えられたらと思っています。

 テレビでは著名な方が亡くなられるニュースを見ます。亡くなられるのは持病を持っている高齢の方が多いようですが、それにあたらないケースもあるようです。感染しない、感染させないということに、私たち全員が気を配らなければなりません。

 娘には「コロナになったらママ達と会えなくなっちゃうんだよ」と、何度となく言い聞かせています。とにかく分かりやすくストレートに。今はコロナが“怖くて、何か良くないもの”という認識を持っているようです。ウイルス自体を理解していなくとも、コロナのせいで外に行けなかったり、友達と会えないという状況は分かっているようです。

――安藤家として、特にお子さんに注意させていることがあればお聞かせください。

 まず外から戻ったら玄関で手のアルコール消毒をします。そして服にはアルコールスプレーをかける。それからせっけんで手洗いをし、再度アルコール……。徹底的にやらせるようにしています。あとはマスクをすること。子供なので、慣れない頃はすぐに外してしまいましたが、それもこまめに注意しました。今は普通に着けるようになりました。

――お買い物はどうしていますか?

 一緒に住んでいる母が行くか、私が行くかです。娘は連れて行きません。必要なものはなるべく近場で調達するようにしていますが、通販を使うこともあります。マーケットはどんなに時間をずらしても人が集中するので、大人だけが買い物に行きます。

――散歩に出たりとかは?

 最初の頃は、「犬の散歩ならいいよ」ということで、近所をちょっとだけ歩きました。今はなるべく家にいるようにしています。家の中ではロケットのように走りまわっていますよ。ストレスが溜まっている風でもありません。娘は家の中でも平気なタイプなようです。

 ベランダに小さな“子供用テント”を張って、その中で宿題をしたりとかも。ベランダならば安心です。風の強い日などは、自分でテントに毛布を持ち込んで、壁を作って「コロナどうのこうの!」とか言いながら、ひとりでも遊んでいます。

一緒について勉強、友達に手紙も

――コロナ禍における安藤家の1日を教えてください。

 起きて、朝ごはんを食べて、その後、娘と遊びます。お昼ご飯が先か、勉強が先か、午後は勉強の時間をしっかりと取ります。それが終わったらまた遊んで、私は夕食の用意に取り掛かる感じです。

――午後の勉強ですが、お嬢さんは今年、小学校に入学されたばかりです。学校からは教科書が届いているのでしょうか?

 教科書は入学式の時にいただきました。休校の間は、先生の方から指定されたページまでの学習であったり、配られたプリントをみっちり1時間、いや1時間半、一緒に私がついて勉強させています。算数、国語、道徳……、漢字とカタカナ、ひらがなも少しずつやっています。もうお友達が何人かできたので、最近はそのお友達に手紙を書いたりしています。

――可愛いランドセル姿の写真をSNSで見せていただきましたが、入学式の出席は結構悩まれたのではと思いました。

 もちろん心配でしたので、自分なりにできる限りのリサーチをしました。とにかく消毒とマスク。入学式はひとりのお子さんに対して保護者は1名に限られ、時間も短縮されると学校側からの説明がありました。実際に、式典ではきちんと距離をおいて座らせていましたし、物に触ったらすぐに消毒するなど、細かい配慮がありました。

 やはりこういう状況下で難しい選択だったのですが、娘にとっても家族にとっても大事な行事と捉えていたので、出席を決めました。あの時期はまだ7都府県で緊急事態宣言が出される前だったというのもあります。

世のお母さんがどう接しているのか少し理解できた

安藤さんのSNSには、お子さんもたびたび登場している 【写真:本人提供】

――お嬢さんとの時間が増えたことは、いつも忙しい安藤さんにとって、何か気づきのきっかけになっているのではないでしょうか?

 コロナ禍になったことで、はじめて世の中のお母さんたちが、毎日どうお子さんと接しているのか、一緒の時間を過ごしているのか、というのを少し理解できたように思います。私の場合は、娘と過ごす時間が普通のお母さんたちよりも普段から少ないので、逆に新鮮で苦にはなっていません。ここまで長時間家にいることは初めてなんです。

「Stay Home」自体、苦手な方ではないんです。元々それほど外に出たがるタイプではなくて、仕事やアイスショーが終わって家に帰ると、ずっとパジャマで過ごしているくらいですから。1日中家にいるのがわりと平気なんです。

――現在お子さんとは何をして一緒に遊んでいますか?

 通販で買ったジグソーパズルにみんなで挑戦したり、映画を見たりしています。後は一緒にできるエクササイズをしますね。

――SNSにお料理の写真も載せられています。

 以前から家にいるときは作っていましたが、娘も幼稚園に行っていたので、作ると言ってもお夕飯くらいだったんです。朝と昼はほぼ母が用意してくれました。今は私が料理に目覚めまして、だいたい自分で作ります。娘は何でも食べますね。アメリカにいた時はずっと自炊だったし、家族も喫茶店をやっていたので、料理は結構好きなんです。

――お嬢さんがお手伝いをしている写真を見ました。

 最近は食べた後の洗い物をしてくれます。べちゃべちゃになって、洗剤が残っていたりしますけど(笑)。

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著者プロフィール

サッカーおよびフィギュアスケートのコラムニスト、サッカー専門TV、欧州実況中継、五輪番組のリサーチャー。コメンテーターとしてTVにも出演。Interbrand、Landor Associates他で、シニアデザイナーとしてCI、VI開発、マーケティングに携わる。後に、コピーライターに転向。著書は『氷上秘話〜フィギュアスケート楽曲プログラムの知られざる世界』『フットボールde国歌大合唱』他、構成『サッカー日本代表帯同ドクター』(土肥美智子)他。

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