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中澤佑二、現役時代のバイブルは? 下手クソな主人公と自分を重ね合わせて

飯尾篤史

中澤佑二さんが現役時代に何度も読み返した『スラムダンク』と『DAYS』 【スポーツナビ】

 自宅でゆっくり過ごすには、読書や映画鑑賞がおススメ。そこで、アスリートに人生を変えた一冊・一本、推薦したい作品を聞いた。これまでどんな本、映画と出会い、考え方や生き方の参考にしてきたのか。アスリートに影響を与えた名作に触れて、おうち時間を充実させよう。

 元サッカー日本代表の中澤佑二さんが紹介するのは、不朽の名作『スラムダンク』、そしてサッカー漫画『DAYS』。また、子どものころにハマった映画の数々を教えてくれた。

不調時に読んで自分を震い立たせていた

言わずと知れた不朽の名作。一生懸命頑張るキャラクターに中澤さんは自分を重ねていた 【スポーツナビ】

 オススメの本として紹介したいのは『スラムダンク』です。現役時代、これを何度も読み返してモチベーションを上げていました。

 バスケットボールをやっている、やっていないにかかわらず、『スラムダンク』を読んで、「努力したい」「努力し続けよう」って、いろんなモチベーションにつながった人も多いんじゃないかな。

 これまでいろんな漫画を読んできましたけど、読み返しても2、3回かな。でも、『スラムダンク』は何度読んでも飽きないんです。現役時代、不調のときには必ず『スラムダンク』を読み返していました。主人公の桜木花道もいっぱい失敗するわけじゃないですか。そのたびに立ち上がって練習を続ける。なんで、あいつはあんなにうまいのに、自分はうまくいかないんだって思いながら努力を続ける、ガムシャラに一生懸命頑張る。そんな登場人物たちに自分を重ね合わせて、自分を奮い立たせていましたね。

 ちなみに、僕の好きな登場人物は仙道彰。のほほんとやっている余裕の感じに憧れます。プレーの質的にもカッコいいですし。あと、ミッチー(三井寿)も好きでした。

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サッカー漫画なら『DAYS』がおススメ。ちょっとずつ成長していく主人公に共感を覚えていたという 【スポーツナビ】

 もう1冊は『DAYS』というサッカー漫画。『スラムダンク』と同じで、主人公は下手クソなんですけど、頑張ってうまくなっていく話です。柄本つくしは、とにかくチームのために走る。誰よりも一生懸命頑張る。急激にうまくなるわけじゃないんだけど、ちょっとずつ成長していく。そうしたところが自分に似ていると思うし、だからこそ、現役時代のバイブルでした。

 もちろん、『ONE PIECE』も好きなんですけど、今回はテーマ性を重視して、この2冊にしました。

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また見返したい30年以上前の映画

 映画の方は、子どもの頃に見て印象に残っているものを選びました。オススメというより、僕がまた見返してみたいなと思っている作品。

 まずは『グーニーズ』『ネバーエンディング・ストーリー』『スタンド・バイ・ミー』。これらは冒険活劇で、ドキドキ、ワクワクしながら見た覚えがあります。

『グーニーズ』は宝探しの話で、『スタンド・バイ・ミー』は悪ガキたちが学校終わりに秘密基地を作ったり、探検の旅に出たりする話。自分の小学生時代とやっていることが同じなんですよね。

『ネバーエンディング・ストーリー』は、いじめられっ子がある日、不思議な本と出会う話。その本を読むと、本の中の世界に導かれ、主人公になって冒険をするんです。テーマソングもいいし、入り込めるんですよね。子どもの頃、ビデオに録って何度も見返したし、雷の夜に真似をして毛布をかぶって、本を読みましたから(笑)。

 これらの作品は名作なんですけど、やっぱり30年以上前の映画なので、今の子どもたちにはピンと来ないかもしれませんね(笑)。特撮もちょっと拙くて、『ネバーエンディング・ストーリー』のファルコンも龍という設定なんですけど、犬みたいですし(笑)。うちの子どもにも見せたんですけど、響かなかった(苦笑)。でも、こんな映画もあるんだなっていう気持ちで見てもらえたらなと思います。
 アクションモノで言うと、『プロジェクトA2 史上最大の標的』『あぶない刑事』シリーズです。

『プロジェクトA2 史上最大の標的』はジャッキー・チェンが主演の映画で、初めて映画館で見た映画がこれなんです。親に連れて行ってもらって東京の映画館で見たんですけど、“初東京”でもあったので、いまだにすごく覚えています。

『あぶない刑事』は、ただただカッコいい(笑)。シリーズは全部見ているんですけど、柴田恭兵さんは50、60歳になっても、まだ走っていますからね(笑)。横浜をひたすら走っていた。相当鍛えているんだと思います。舘ひろしさんはバイクに乗っていて、とにかくカッコいいです。バイクに乗ってショットガンを打つのが、もう最高。

 でも、カッコいい中にも、お茶目なところ、コミカルなところがあるのがいいんですよね。でも、最後、締めるところは締めるみたいな。王道の刑事モノと一線を画す作品で、好きでしたね。

ジブリ作品は分かっているのに見ちゃう

 あとはジブリ作品ですね。『天空の城ラピュタ』とか、『耳をすませば』『千と千尋の神隠し』『ハウルの動く城』とか。ジブリ作品はいつ見てもいいなっていう。癒やされるというか、荒んだ心に響くというか、心が洗われるというか。

 テレビで再放送が何度もやっていますけど、そのたびに見ちゃいます。ここでシータがさらわれるとか、全部分かっているのに見ちゃう。応援しちゃう「行け!」って(笑)。
 僕は映画を見てスッキリしたいんですよね。考えさせられる作品は苦手(笑)。というのも、子どもの頃に『プラトーン』を見て、最後、隊長は助かるんだろうなと思っていたら裏切りにあって、殺されてしまって。戦争の恐ろしさは学べましたけど、それがちょっとトラウマになったんです。それで、映画を見るなら、見終わって、「ああ、良かった!」という作品がいいなって。だから、恋愛モノも複雑なのはイヤですね(笑)。

 家にいる時間が増えたので、80年代、90年代の懐かしい作品を見返そうと思っています。皆さんもこの機会に本を読んだり、家族で映画を見たりしながら、過ごしてみてください。
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著者プロフィール

東京都生まれ。明治大学を卒業後、編集プロダクションを経て、日本スポーツ企画出版社に入社し、「週刊サッカーダイジェスト」編集部に配属。2012年からフリーランスに転身し、国内外のサッカーシーンを取材する。著書に『黄金の1年 一流Jリーガー19人が明かす分岐点』(ソル・メディア)、『残心 Jリーガー中村憲剛の挑戦と挫折の1700日』(講談社)、構成として岡崎慎司『未到 奇跡の一年』(KKベストセラーズ)などがある。

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