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謙虚なブラジル人フェリペ・タヴァレス
昇格を信じて琉球の右サイドを活性化する
千葉との開幕戦でJリーグデビューを飾ったタヴァレスは、鋭い仕掛けから好クロスを供給するなど存在感を示した。中断期間を利用して、より周囲との連携を深めたい
千葉との開幕戦でJリーグデビューを飾ったタヴァレスは、鋭い仕掛けから好クロスを供給するなど存在感を示した。中断期間を利用して、より周囲との連携を深めたい【(C)J.LEAGUE】

 昨季のJ2でリーグ最多の80失点を喫し、守備の立て直しが急務だったFC琉球にとって、頼もしい新助っ人に違いない。豊富な運動量で激しく上下動を繰り返す右サイドバック、フェリペ・タヴァレス。日本人と日本サッカーをリスペクトし、チームファーストを信条とするブラジリアンは、チームのJ1昇格を信じて疑わない。

かつての恩師ドゥダコーチの存在

「僕はとにかく精いっぱいプレーする選手。どのエリアでも、すべてのプレーを精いっぱいやることを誓います」


 FC琉球のブラジル人DFフェリペ・タヴァレスは、初挑戦となるJリーグでのプレーに喜びを感じていた。


 2019年、ブラジル連邦直轄区リーグ(カンピオナート・ブラジリエンセ)1部の「SEガマ」でプレーしたタヴァレスは、リーグ優勝を果たしたチームで貴重な役割を担った。その後、7月にゴイアス州リーグ(カンピオナート・ゴイアーノ)2部の「アナポリスFC」に期限付きで加入すると、ここでも1部リーグへの昇格に貢献する。


 フィジカル、メンタルともに脂の乗った26歳の右サイドバック(SB)が日本でのプレーを決めた理由の一つには、かつての恩師の存在がある。琉球のブラジル人コーチ、ドゥダ・ドス・サントスは、14年から17年までFC大阪(JFL)のヘッドコーチを務めており、その当時、練習生としてタヴァレスを迎え入れた経緯があるのだ。


「来日してすぐに、チームに溶け込もうと一生懸命プレーしていたし、日本語も覚えようとするなど、ブラジル人らしからぬ謙虚さがあった」


 そう話すドゥダコーチは、当時からタヴァレスに好印象を持っていた。FC大阪への加入は叶わなかったものの、その頃の記憶が鮮明に残っていたブラジル人コーチは、「絶対に活躍してくれる」と、タヴァレス獲得をプッシュしたのだ。

カウンターリスクを軽減する右SB

「ブラジルとはまったく環境が違いますが、毎日が新鮮です。特に沖縄はとても綺麗で素晴らしい雰囲気があります。日本人は勤勉で性格も優しすぎるぐらい。自分もちゃんとその感覚になれるよう努めています」


 気合十分で再び日本にやって来たタヴァレスは、チームメートとの初顔合わせとなった1月の始動日に、「タヴァレスです。右サイドバックです」と覚えたての日本語であいさつ。一日も早くチームになじもうとする姿勢が伝わってきた。


 昨シーズン、J2リーグ最多の80失点を喫し、守備の立て直しが急務の琉球にとって、タヴァレスはまさに適材だった。アグレッシブなサッカーを志向する琉球は、両SBが果敢に攻め上がり、縦に速い攻撃で主導権を握ろうとする。ただ、それにはカウンターリスクも伴い、空いた背後のスペースを突かれて攻め込まれるケースも目立っていた。


 しかしタヴァレスは、豊富な運動量で激しく上下動を繰り返し、相手のカウンターに対してもすぐさまアプローチして攻撃の芽を摘む動きを得意とする。カバーリングはスピーディーかつ的確で、182センチの身長を生かし、ときにセンターバックの位置に入ってロングボールを跳ね返すプレーもいとわない。


 そしてもちろん、攻撃時には積極的にオーバーラップを仕掛け、前線に厚みとアクセントをもたらすのだ。

中断期間をむしろプラスに捉えて

「ブラジルは緩急で勝負する機会が多いですが、日本はダイナミックなプレーが特徴的。攻守の切り替えの早さとか、タイミング、テンポはブラジルとは違うなと感じました」


 そう客観的に分析するタヴァレスは、プレシーズンのトレーニングマッチを重ねながら、日本サッカーに順応。ジェフユナイテッド千葉とのJ2開幕戦では、チームは0-1で敗れたものの、敵陣に再三進入してクロスボールを供給するなど存在感を示した。


 直後にリーグ戦は中断となったが、しかしタヴァレスは焦ることなく、冷静さを保っている。異国の地で持てる力をフルに発揮するには、多少の時間が必要と覚悟していた彼にとっては、むしろプラスと言ってもいいかもしれない。


「ドゥダコーチや他の選手からも学びながら、ちょっとずつ日本語を理解できるようになりました。まだまだつたないですが、日本語を使うことで円滑にコミュニケーションが取れているという感じがします。選手はみんな優しく接してくれますし、その雰囲気がとてもうれしいです」


 日本人と日本サッカーをリスペクトし、チームファーストを信条とするブラジル人DFは、琉球のJ1昇格を信じ、右サイドで翼を広げる。


(企画構成:YOJI-GEN)

仲本兼進

1978年生まれ、沖縄県那覇市出身。県内ラジオ局に11年間勤務。FC琉球応援番組の制作を機に様々なスポーツの現場に密着取材。2013年に独立し、ライターに転身。Jリーグ登録フリーランスの琉球担当記者として、『EL GORAZO』、『サッカーダイジェスト』、『サッカーマガジン』、『J’sGOAL』、『ゲキサカ』、『スポーツナビ』、そして地元紙などに寄稿。また、高校野球などアマチュアスポーツの取材も精力的に行なう。

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