元Jリーガーも参戦!eJチャレンジが開幕 実況者に聞く“新たなサッカー”の可能性

 2020年3月27日、Jリーグは『eJリーグ オンラインチャレンジカップ』の開催を発表。新型コロナウイルス感染症の感染拡大による試合延期を受けて、eスポーツの大会を急きょ企画した。ゲームタイトルは『EA SPORTSTM FIFA 20』で、無料エントリーで誰でも参加可能。4月4、5日に予選が行われ、10から12日にかけて勝ち進んだ18名とクラブ推薦選手11名の合計29名による決勝トーナメントが開催される。

「サッカーとゲーム両方のファンに楽しみを」

eスポーツプレーヤーとして国内外の大会で優勝の実績を持つ岸大河さん。現在はゲームキャスターとしてeスポーツを盛り上げている 【写真提供:岸大河】

 本戦の10、12日に実況を担当するゲームキャスターの岸大河さんは、この大会に熱い思いを抱く。Jリーグは約2年前からeスポーツに本格参入した。サッカー経験者で、eスポーツプレーヤーとして国内外の大会で活躍した岸さんは「サッカーゲームがJリーグ、Jクラブと関われることは個人的に本当にうれしい」と話す。続けて、今大会の意義についてこう語った。

「このつらい時期に、サッカーファン、ゲームファンの両方に楽しみを提供したいとの思いから開催が決まった。これも“新たなサッカー”として捉えてほしいし、大会をきっかけに多くの方にJリーグにより興味を持ってもらい、再開した時にスタジアムに足を運んでもらいたい」

 実況するにあたって、ゲームのサッカーと、リアルなサッカーではどう違うのか。ゲームのクオリティー向上によって画面上で見る限り大きな隔たりはないように見えるが、決定的な違いが一つある。「ゲームではどんどんパスがつながり、選手名を言っていられないほど展開が早い」。実際にゲームをプレーしたことがある人はよく分かるだろう。数本のパス交換でシュートまで持ちこめることがままあるし、前後半20分の試合でもいい感じのスコアになる。ゲームのスピード感はユーザーが心地よく楽しめるように設計されている。

 もっとも、場数をこなすと「点が入りそうな流れが分かる」ので試合展開に置いていかれることはない。実際のサッカーと似ているところとして、岸さんはいくつか例を挙げてくれた。「相手が中盤低い位置でボールを回している時にパスカットしたり、相手のサイドバックが上がっている時に高い位置でボールを奪取したりするとチャンスにつながる」。これらはJリーグでもよく見られるシーンだ。
 岸さんが実況する際に意識しているのは、操作するeスポーツプレーヤーをフォーカスすること。「例えばゴールを決めたのがゲーム上のクリスティアーノ・ロナウドであっても、動かしている選手が誰か分かるように意識して話している」。トップクラスのeスポーツ選手はサッカー選手同様に「日々世界を目指してトレーニングを重ねている。その選手が操作するハイレベルなプレーを見てほしい」。

 サッカーゲームでは、プレーヤーが監督兼選手として全てをオーガナイズする。「eスポーツの選手はゲームだけでなくサッカーの知識も持っていて、監督としてチーム全体の構想を考えながら11人の選手全員を動かす。プロのサッカー選手が見てもすごいと感じてもらえるはず」。岸さんはeスポーツ選手の実力がサッカー選手に認められ、それがサッカーファンにも波及してeスポーツがさらに発展していくことに期待を寄せる。

 昨シーズン圧倒的な攻撃力でJ1リーグを制した横浜F・マリノスであっても、ゲームの中ではアタッキングフットボールを展開するとは限らない。堅固な守備を誇ったセレッソ大阪がリスク承知の攻撃的な布陣、スタイルで戦うこともある。チームや選手の能力、特長をどう生かすかはプレーヤー次第だ。

「ゲーム内でも、キレイなサッカーをする選手もいれば、泥臭いサッカーをする選手もいる。実際のサッカーのプレースタイルに近いものも見られる。さまざまなタイプの選手がいて、さまざまなスタイルがあるのもeスポーツの面白いところ」(岸さん)

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