連載:“伝統の番号”を受け継いだJクラブの一番星

カズ、レアンドロが背負った「11」を志願 神戸の古橋享梧が見据えるのは得点王だ

高村美砂
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初めてJ1をフルに戦った昨季は、二桁得点を達成。しかし、古橋は現状に満足せず、さらに上を目指す。みずからにプレッシャーをかけるべく、背番号を「16」から「11」に変更した 【写真:西村尚己/アフロスポーツ】

 みずから志願した背番号だという。昨季のJ1で10ゴールを挙げ、日本代表デビューも飾るなど大ブレークを果たした古橋享梧だが、満足感など微塵もない。「ほんの少しでも気を抜けば、ポジションを失う」──。すでに中堅と呼ばれる25歳。危機感はむしろ大きくなっている。だからこそ今季、かつてカズ、レアンドロがつけた「ヴィッセル神戸の11番」を背負う覚悟を決めたのだ。あえて自分自身にプレッシャーをかけ、ストライカーとして進化を遂げるために。狙うはもちろん、得点王だ。
ヴィッセル神戸「背番号11」の系譜
神野卓哉(97〜98年)→和多田充寿(99〜00年)→三浦知良(01〜05年)→茂木弘人(06〜07年)→松橋章太(08〜09年)→ポポ(10〜11年)→田代有三(12〜14年)→レアンドロ(15〜19年)→古橋亨梧(20年)

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チームの顔だったカズ、得点王レアンドロ

 ヴィッセル神戸のエースナンバーと言えば、「13」を思い浮かべる人も多いだろう。

 さかのぼること、今から25年前の1995年。阪神淡路大震災によってクラブの存続が危ぶまれたこの年に、「地元・神戸の人たちを勇気づけたい」と清水エスパルスから電撃移籍した永島昭浩が13番を背負ったのが、物語の始まりだった。

 以来、その抜群の決定力でチームをJ1昇格へと導いた“ミスター神戸”の存在は伝説となり、2000年に永島が現役を引退後は、播戸竜二、大久保嘉人(現・東京ヴェルディ)、我那覇和樹(現・福井ユナイテッドFC)といった日本代表クラスのストライカーたちに、栄光の背番号は受け継がれてきた。そして12年からはクラブ史上初めて、アカデミー出身の生え抜き選手──小川慶治朗に13番は託されている。
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著者プロフィール

関西一円の『サッカー』を応援しようとJリーグ発足にあわせて発刊された、関西サッカー応援誌『GAM』『KAPPOS』の発行・編集に携わった後、同雑誌の休刊に伴い、1998年からフリーライターに。現在はガンバ大阪、ヴィッセル神戸を中心に取材を展開。イヤーブックやマッチデーブログラムなどクラブのオフィシャル媒体を中心に執筆活動を行なう。選手やスタッフなど『人』にスポットをあてた記事がほとんど。『サッカーダイジェスト』での宇佐美貴史のコラム連載は10年に及び、150回を超えた。兵庫県西宮市生まれ、大阪育ち。現在は神戸在住。

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