セティエン監督の理想からはほど遠く――「メッシ頼み」が加速するバルサの実情
マドリーのつまずきに助けられ、首位の座を奪い返したバルサだが、セティエン監督の就任後も不安定な戦いぶりは変わらない。ポゼッション・サッカーは定着せず、大黒柱メッシに多くを依存する 【写真:なかしまだいすけ/アフロ】
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ビダルを重用するようになった理由
実際、初陣のグラナダ戦(ラ・リーガ20節)で、高いポゼッション率や1000本超えのパス本数が話題になったのも今は昔。むしろそれは、縦に速いサッカーに慣れ親しんでいた選手たちにとってはなじみの薄いプレースタイルであり、カウンターからピンチを招くシーンが続出した。また肝心の攻撃面においても、ボールは回るがスピードが不足し、足元のパスのオンパレードになっていた。
対戦相手にしてみれば、コンパクトなブロックを作って守り、ボールを奪えば素早く前方に運んで手薄な両サイドバック(SB)の裏のスペースを突けばよかった。
そもそも、セティエンが当初導入した3-1-4-2というシステム自体が無謀だった。左SBのジョルディ・アルバのポジションを、左ウイングのアンス・ファティに近い位置にまで上げる一方で、逆サイドのセルジ・ロベルトには3バックの一角として振る舞わせることで、攻守のバランスを取るというのが指揮官の狙いだったのだろう。
しかし、ぽっかりと空いた左サイドのスペースを簡単に攻略され、中盤もセンターバック(CB)もそのサポート役を担えなかった。特に中盤は、セルヒオ・ブスケッツやイバン・ラキティッチといった長年チームを支えてきたベテランが、相手のスピードやパワーに対応できない場面が目立ち、ラインが間延びし、ボールを奪えない要因となっていた。
そんななか、バルベルデと同様にセティエンもまた、MF陣の中ではインテンシティーの高さで右に出る者のいないアルトゥーロ・ビダルを重用するようになるのだが、それは決して偶然ではない。
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