大坂なおみがU字曲線の一年で得た財産 全豪に生かす2019年の雄飛と雌伏の経験

山口奈緒美
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全豪オープンを制し、グランドスラム連覇を成し遂げた大坂なおみ。幸先の良いスタートを切った2019年だったが…… 【Getty Images】

 1月20日より開幕する「全豪オープンテニス」。4大大会(グランドスラム)の今季初戦に臨む大坂なおみ(日清食品)は、女子シングルスのディフェンディングチャンピオンとして大会を迎える。2018年の全米オープンに続いて年明けの全豪オープンを制した大坂は、初の世界ランキング1位を経験。昨年の今ごろはまさに飛ぶ鳥を落とす勢いだった。しかし、その勢いは長くは続かなかった。

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浮沈の大きかった2019年を「U字」と評した大坂

「19年は『U』の字みたいなシーズンだった。不思議なんだけど、去年より今年のほうがいい年だったと感じるの。去年よりもたくさん泣いたけど、それもいい勉強だったかなって。何かが変わるチャンスって、そのときはそうと気付かないかもしれないけど、いつもあるんだなと思う」

 昨年のツアー最後に行われた記者会見で、大坂なおみはこう一年を振り返った。最終戦となるWTAファイナルズのラウンドロビン、2戦目を肩の痛みで棄権した直後のことだ。

 確かに、グランドスラム2大会連続の優勝で世界1位に上り詰めるという絶頂のスタートから、一気に落ち込んで、アジアシリーズで復調――大会の結果だけを見れば『U』という表現はまさにその通りだった。しかし、少なくともはた目には『U』が描く曲線のように物事が進んだ印象はなく、どちらかと言えば「V」や「W」のような落差が激しい激動の一年に思えた。

サーシャ・バインコーチの解任から狂い始めた歯車

極めて良好な関係に映っていたサーシャ・バイン元コーチ(左)と袂を分かつようになったころから大坂は調子を落としていった 【Getty Images】

 全豪オープンの優勝からわずか2週間後、大坂は自身のツイッターでサーシャ・バインコーチの解任を発表した。これは衝撃的だった。大ブレークした18年の大坂を支えてきた、その功労者であったはずのコーチである。日本では大坂と“セット”で人気があった。
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著者プロフィール

1969年、和歌山県生まれ。ベースボール・マガジン社『テニスマガジン』編集部を経てフリーランスに。1999年より全グランドスラムの取材を敢行し、スポーツ系雑誌やウェブサイトに大会レポートやコラムを執筆。大阪在住。

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