連載:“BIG3”に続くのは? ネクスト・ジェネレーション

コート内外で違う顔を見せるチチパス 「究極の負けず嫌い」が“時代”を変える

内田暁
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元プロテニス選手の両親の元で3歳からラケットを握ったチチパス。193センチと体格も恵まれている 【Getty Images】

 ラファエル・ナダル(スペイン)、ノバク・ジョコビッチ(セルビア)、そしてロジャー・フェデラー(スイス)。「BIG3」とも称される3人が男子テニス界の覇権を分け合って久しいが、その“時代”も終わりに近づいているのかもしれない。

 彼らに世代交代を突きつけようと目論むネクスト・ジェネレーション――現在19〜23歳の年代には、技術とスター性を兼ね備えた次代の旗手候補たちが、きら星のごとく顔をそろえている。その中でもひときわ輝いて見えるのが、ギリシャ人の父と旧ソ連出身の母を持つどこか文学青年然とした若者、ステファノス・チチパス(ギリシャ)だ。

女王セリーナのコーチが一目惚れしたカリスマ性と資質

身体を投げ出してボールに食らいつくプレーは魅力の一つ。「攻撃性と勇気」はジュニア時代から変わらない 【Getty Images】

 3年前の全仏オープン予選を取材していた時、現地フランスに住む日本人テニス関係者が「ステッフ(チチパスの愛称)を見に行かなくちゃ!」と足取り軽くコートへと向かっていった。それが、彼の試合を初めて見るきっかけとなる。当時、18歳でATP世界ランキングは205位。一般的にはまだ無名に近い存在だったが、予選を戦う彼のコートサイドには溢れるほどファンが詰めかけていた。

 旧ソ連のトッププロだった母親と、ギリシャ人のコーチを父に持つテニス界のサラブレッド。憧れのフェデラーを真似て打ち始めたという片手バックハンドは流麗で、時おり見せるジャンピングボレーなどのダイナミックなプレーには華がある。長く伸びた金髪を揺らす端正な面立ちも人気の理由だろう。
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著者プロフィール

テニス雑誌『スマッシュ』などのメディアに執筆するフリーライター。2006年頃からグランドスラム等の主要大会の取材を始め、08年デルレイビーチ国際選手権での錦織圭ツアー初優勝にも立ち合う。近著に、錦織圭の幼少期からの足跡を綴ったノンフィクション『錦織圭 リターンゲーム』(学研プラス)や、アスリートの肉体及び精神の動きを神経科学(脳科学)の知見から解説する『勝てる脳、負ける脳 一流アスリートの脳内で起きていること』(集英社)がある。京都在住。

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