連載:高校サッカー選手権 あのヒーローはいま

バルセロナで、うどんとブランドと家族と 石塚啓次は引退後もやっぱり規格外

栗原正夫
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バルセロナでうどん屋、自身も厨房に立つ

引退後、石塚啓次は2012年からバルセロナに移住。アパレルブランドを立ち上げ、うどん屋を経営している 【撮影:中島大介】

 バルセロナでの石塚啓次の1日は忙しい。

 朝8時に学校に通う長男をバス停まで送ると、そのまま店へ出て、仕事を終えて帰宅するころ頃には24時を回っている。途中、昼休みの休憩を挟むが、子どもの迎えもあったり、毎日が忙(せわ)しないとこぼす。

 SNSなどを垣間見ると、さぞ楽し気なスペインライフを送っているかのように見えるが、「それはそう見せているだけ」と苦笑いを浮かべる。

「実際は朝からネギを買いに行って。楽しみは店を閉めたあと、焼酎を飲みながらネットで日本の動画を見て笑ってるときくらいやね」

 石塚は現役引退後、国内でアパレルブランドを立ち上げ、約7年間代表として活動したあと、2012年に妻と4人の子どもとともにスペイン・バルセロナへ移住。その後、バルセロナで新たに「BUENAVISTA」というブランドを旗揚げすると、14年6月にうどん屋「YoI Yoi Gion 宵宵祇園」をオープン。店は、バルセロナ観光に行けば一度は通るであろうグラシア通りとディアゴナル通りが交わる交差点付近の好立地に位置し、石塚自身が厨房に立っている。
 サッカーからファッションに行き、今度は飲食。その振り幅に驚かされるが、どういう経緯があったのか。

「ファッションは昔から好きやったし、サッカーやってたときも、遊び仲間はスタイリストとかが多かったから。知り合いもおるし、何かあれば助けてもらえるだろうという気持ちで、この世界かなと。当時は“裏原”とかの時代だったけど、カッコよく見えたし。
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著者プロフィール

1974年生まれ。大学卒業後、映像、ITメディアでスポーツにかかわり、フリーランスに。サッカーほか、国内外問わずスポーツ関連のインタビューやレポート記事を週刊誌、スポーツ誌、WEBなどに寄稿。サッカーW杯は98年から、欧州選手権は2000年から、夏季五輪は04年から、すべて現地観戦、取材。これまでに約60カ国を取材で訪問している

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