五輪vs.世界vs.アジア女王三つ巴最終決戦 レスリング女子50kg級代表切符の行方は?

布施鋼治

東京オリンピックへのラストチャンスが開幕

東京オリンピックのレスリング女子50kg級代表の座を争い、全日本選手権では世界一過酷とも言える戦いが繰り広げられる(左から入江ゆき、須崎優衣。写真は今年7月の世界選手権代表選考プレーオフ) 【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】

 東京オリンピックへ向け、ラストチャンス! 12月19日、東京・駒沢体育館で『令和元年天皇杯 全日本レスリング選手権大会』がスタートした。22日までの4日間、男子フリースタイル、男子グレコローマンスタイル、女子フリースタイル──各10階級ずつ全30階級の日本一が争われる。

 すでに先の世界選手権で優勝した男子グレコローマン60kg級の文田健一郎(ミキハウス)、女子53kg級の向田真優(至学館大)、女子57kg級の川井梨紗子(ジャパンビバレッジ)、女子76kg級の鈴木博恵(クリナップ)、準優勝の女子62kg級の川井友香子(至学館大)の出場は決定済み。男子フリー65kg級や同74kg級、女子68kg級は出場枠を獲得するにとどまった。1964年の東京オリンピックでは「レスリングは日本のお家芸」といわれるほど活躍した(金3つを獲得)男子フリースタイルは奮起せざるをえない。

五輪で優勝するよりも難しい日本代表の座

一度は東京オリンピック出場を諦めた17年&18年世界王者の須崎に再びチャンスが訪れた 【写真:アフロ】

 9月の世界選手権で最も大きな誤算は優勝候補に挙げられていた女子50kg級の入江ゆき(自衛隊体育学校)が3回戦で敗北を喫し、出場枠すら獲れなかったことだろう。この階級でオリンピックに出場するためには今回の全日本選手権で優勝したうえで、2020年開催のアジアオリンピック予選か世界オリンピック予選で勝ち抜かなければならない。

 よって、入江だけではなく、一度は東京オリンピック出場を諦めた入江のライバル須崎優衣(早稲田大)やリオデジャネイロ・オリンピック金メダリストの登坂絵莉(東新住建)にも再びチャンスが訪れた。

 入江がアジア選手権優勝者ならば、須崎は2年連続世界チャンピオン。つまりアジアと世界とオリンピックのトップが三つ巴で東京オリンピック出場をかけた熾烈な争いを繰り広げることになる。正直、オリンピックで優勝するより、日本代表の座の獲得する方が難しいのではないか。少なくとも女子50kg級の顔ぶれを見る限り、そう思ってしまう。

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著者プロフィール

1963年7月25日、札幌市出身。得意分野は格闘技。中でもアマチュアレスリング、ムエタイ(キックボクシング)、MMAへの造詣が深い。取材対象に対してはヒット・アンド・アウェイを繰り返す手法で、学生時代から執筆活動を続けている。Numberでは'90年代半ばからSCORE CARDを連載中。2008年7月に上梓した「吉田沙保里 119連勝の方程式」(新潮社)でミズノスポーツライター賞優秀賞を受賞。他の著書に「東京12チャンネル運動部の情熱」(集英社)、「格闘技絶対王者列伝」(宝島社)などがある。

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