“遅れてきた選手”陸上・小池祐貴 常に胸にある「危機感」が歩みを支える

宝田将志
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意図的に意識しないようにした「9秒台」

日本人3人目となる9秒台の記録を持つ小池祐貴。自身の考えを正確に伝えようとする姿は、真面目すら感じさせる 【写真:REX/アフロ】

 リップサービスはしない。質問の意図がつかめなかった時は聞き返すこともある。陸上男子短距離の小池祐貴(住友電工)は、取材者に考えを正確に伝えようとする選手だ。自分に厳しく、至って真面目。時にその表情や口調は、頑なすぎるのではないかとさえ映る。

 7月20日のダイヤモンドリーグ・ロンドン大会100メートルで日本歴代2位タイの9秒98をマークした。日本人で「10秒の壁」を越えたのは桐生祥秀(日本生命)、サニブラウン・ハキーム(フロリダ大)に続き3人目。世界選手権や五輪の決勝進出を望めるタイムである。

 快挙を達成した24歳は、それでも帰国直後の羽田空港で報道陣の祝福ムードに迎合しない。感想を求められると、「みんな9秒台が好きだなと思いました」と平然と言ったものだ。

 その後、テレビカメラが外れ、ペン記者との問答が進んでいくと、それまでの葛藤がのぞく場面があった。
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著者プロフィール

1977年、千葉県生まれ。産経新聞運動部記者。陸上、体操など五輪競技を担当。著書に『四継 2016リオ五輪、彼らの真実』(文藝春秋) Twitter:@takarada_sports

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