菊池雄星は田中と投げ合い、何を得たか 「強いチームとやって学ぶこともある」
ヤンキース・田中将大とマリナーズ・菊池雄星の投げ合いが実現。結果は田中が7回無失点の好投で勝利、菊池は4回5失点KOと対照的だった 【写真は共同】
ボール支配率で言えば、圧倒的にヤンキースがボールをキープ。菊池は防戦に追われた。一方で田中は後方に控え、たまに転がってくるボールをクリアするだけ。淡々とマリナーズ打線からアウトを重ね、4回まで1本のヒットも許さなかった。
そのことは、本人たちの言葉の中にもにじむ。
菊池が、「ボール自体は前回とあまり変わらないと思ったけれど、レベルの高い打線は甘い球を見逃してくれない」と話したのに対し、田中は「序盤からスライダー、スプリットを効果的に使えた。味方が早い段階で点数も取ってくれたので、リズムに乗っていくことが出来た」と振り返った。
片や、ミスの余地なしという悲壮感が漂い、片や、余裕がうかがえる。
前日はゆる〜い感じでスタート
練習を終えた菊池が、ちょうど練習を始めた田中のところへ歩み寄って談笑。翌日に登板を控えている投手同士だが、田中が菊池に、スプリットの投げ方を教えているようなシーンも見られた。
「いろいろ、お聞きしたいことがあったんで、ついつい、聞いちゃいました」と菊池。屈託のない笑みを浮かべながら続けている。「めったにお会いできないので」。
さらには、「僕が中学生のときから、甲子園で(投げるのを)見ていて、あこがれの存在。日本で対戦する機会はなかったんですけど、こうやってまさかアメリカで対戦できるというのは本当に幸せ」とも話している。
しかし田中がその言葉を伝えられると、苦笑しながら応じた。
「無理やり聞いて、無理やり答え出してもらったんでしょ? そんなん、聞いたことない。優しいからそう言ってくれたんでしょ?」
菊池、2本のアーチに沈む
前日は菊池が田中のもとへあいさつする形で対面。穏やかな表情で談笑した 【写真は共同】
その回は後続を断ち、2回も2死から走者を得点圏に背負うも、無失点で切り抜けた菊池だったが、3回は無死一、二塁でブレッド・ガードナーに3ランを許し、早くも5失点。前回のブルージェイズ戦で完封した面影はなかった。
「まだまだ、自分には課題がある」
菊池はまたしても、宿題をつきつけられた。