連載:「7・27 マリノスvs.マンC」プレビュー

サッカーの王道を往くという強い信念 マリノスは“日本のシティ”となるか

西部謙司
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横浜F・マリノスを率いて2年目のアンジェ・ポステコグルー監督(左から2人目)。攻撃的なフィロソフィーはチームに浸透し、今季は上位につけている 【(C)J.LEAGUE】

 横浜F・マリノスvs.マンチェスター・シティの一戦は「シティ・フットボール・グループ」における単なるプレシーズンマッチにとどまらない。サッカーの王道を往くという強い信念を持った監督たちによる、同じ志向のチーム同士のぶつかり合いなのだ。胸を借りるマリノスに果たして勝機はあるのか。両チームの共通点について改めて触れるとともに、両チームのスタイルの価値について考察する。

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両チームのプレーディテールはほぼ同じ

 横浜F・マリノスとマンチェスター・シティ、両者のプレースタイルはよく似ている。

 シティ・グループの傘下なのだから、似ているのは当たり前にも思えるが、同じ傘下でも似ていないチームもあるので、アンジェ・ポステコグルー監督とジョゼップ・グアルディオラ監督の考え方が似ているということなのだろう。

 ボールを支配する攻撃的なスタイルというだけでなくプレーのディテールが似ている、というよりほぼ同じなのだ。

 GKはビルドアップに加わる。GKが後方のパスワークに加わることで、11人が攻撃に関わる。フィールドプレーヤーは10人なので、守備側はGKが前に出て攻撃側のFWをマークしない限り、マリノス(シティ)に11人対10人という数的優位が生まれる。

 このプラス1を利用しながらボールを確保する。GKはこのスタイルを行ううえで、ある意味一番人選の難しいポジションかもしれない。

 グアルディオラ監督がシティに来たとき、GKにはイングランド代表のジョー・ハートがいた。ところが、早々にハートを他クラブへ貸し出している。守備力に定評のあるハートだったが、攻撃面でのパスワークでは物足りないと判断したからだ。

 代わりにクラウディオ・ブラボを獲得したが、次のシーズンにはエデルソンを加えて正GKに据えた。エデルソンは足下の技術が抜群、もちろん守備力も高いが、ショートパスもロングパスも自在の展開力が決め手だった。エデルソンの加入によって、シティのプレースタイルは土台が定まったといっていい。

 マリノスも今季、経験豊富な飯倉大樹からパク・イルギュにGKが代わっている。GKは攻撃への貢献度が問われる分、要求の高いポジションになっている。
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著者プロフィール

1962年9月27日、東京都出身。サッカー専門誌記者を経て2002年よりフリーランス。近著は『フットボール代表 プレースタイル図鑑』(カンゼン) 『Jリーグ新戦術レポート2022』(ELGOLAZO BOOKS)。タグマにてWEBマガジン『犬の生活SUPER』を展開中

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