連載:「7・27 マリノスvs.マンC」プレビュー

CFGの野望はフットボール界のディズニー? 「マンC下部組織」マリノスが受ける恩恵

井川洋一
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多国籍エンターテインメント企業を目指すCFGの野望とは? 【Manchester City FC via Getty Images】

 横浜F・マリノスが、プレミアリーグの強豪マンチェスター・シティ(マンC)を筆頭クラブとする「シティ・フットボール・グループ(CFG)」の一員であることは、サッカーファンならよくご存じだろう。しかし、その成り立ちや理念、さらにはマリノスが受ける恩恵について、詳細を知る方はそう多くはないはずだ。CFGの壮大な野望を、ここにつまびらかにする。

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元バルサの副会長が抱いた野望

CFGではマンCをファーストチーム、傘下のクラブを下部組織と位置付ける。ペップ流のポゼッションスタイルを導入したマリノスは今季、Jリーグで好調を維持している 【(C)J.LEAGUE】

 フットボール界のウォルト・ディズニー・カンパニーへ──。CFGは、この業界で初となる真の多国籍エンターテインメント企業になろうとしているようだ。

 CFGはマンC(イングランド)、ニューヨーク・シティ(アメリカ)、メルボルン・シティ(オーストラリア)の最大の株主で、実質的なオーナーである。また、横浜F・マリノス(日本)、アトレティコ・トルケ(ウルグアイ)、ジローナ(スペイン)、四川九牛(中国)の株式を部分的に取得し、パートナーチームとしている。さらにはCFGが中国と並ぶ最大のマーケットと捉えているインドや、唯一提携先のないアフリカ大陸にも、近い将来に進出する予定だ。

 フットボールというエンターテインメント事業を世界規模で展開し、大きな成功を収める。具体的には筆頭クラブのマンCを世界一のクラブにし、グループ全体では多大な利益を計上する。彼らが思い描いているのはまさに、世界的な巨大エンターテインメント企業、ウォルト・ディズニー・カンパニーの蹴球版だ(コカ・コーラやマクドナルド、グーグルなどと比較する向きも)。

 この壮大な野望を掲げたのは、フェラン・ソリアーノCEO(最高経営責任者)だ。ベルギーとスペイン、アメリカの大学で3つのMBAを取得し、5カ国語を操るバルセロナ出身のビジネスマンは、通信事業やエンターテインメント事業などに携わった後、2003年にFCバルセロナの副会長(兼暫定CEO)に就任。複数の側近たちとモダンな経営手法をクラブに持ち込み、それまで赤字続きだったカタルーニャの名門を黒字化させるなど、優れた手腕を発揮した。彼がその座を担った5年間、バルサはラ・リーガを2度、チャンピオンズリーグを1度制すなど、スポーツ面の成功にも浴している。
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