佐々木朗希が6回13K、無安打無得点 MAX155キロの直球は「調子のバロメーター」

ベースボール・タイムズ

プロ関係者が見守る中、初回を3者連続三振に

投球練習ではやや荒れ気味にも見えた佐々木だが、試合に入ると圧巻のピッチングを披露した 【写真は共同】

 佐々木朗希が6回を“ノーヒットノーラン”に抑える好投をみせ、大船渡は2試合連続のコールド勝ちでベスト16進出を果たした。

 花巻球場の第1試合で行われた大船渡対一戸。球場には早朝から大勢のファンが詰めかけただけでなく、埼玉西武の渡辺久信GMをはじめ、日米13球団20人以上の関係者が集結。今秋のドラフト1位が確実視される高校生右腕に、熱い視線を送った。

 両チームは昨秋の県大会でも対戦しており、このときは大船渡が11対1の7回コールドで勝利。しかし、佐々木は「ひと冬を越えて、レベルアップしているので、気は抜けないと思っていました」と気持ちを引き締めてマウンドへ上がった。

 投球練習では少しボールが荒れている印象を受けたが、いざ試合が始まると、そんな不安を払拭(ふっしょく)するピッチングを披露する。先頭打者に対しては、変化球2球で1ボール1ストライクにすると、3球目に147キロの直球で空振りを奪う。そして迎えた4球目は、夏の大会最初の150キロオーバーとなる151キロの直球。バッターも積極的に振りにいったが、空振り三振に終わった。これで勢いに乗った佐々木は、2、3番打者からも150キロの直球で空振り三振を奪う圧巻のピッチングで、球場に集まった観衆を魅了した。

6回参考ながらノーノーを記録

 佐々木は続く2回もキレのある直球、変化球で、打力のある一戸打線を翻弄。4者連続三振を奪った直後の5番打者には変化球をうまく合わせられたが、ファーストの好守備もあり、ランナーを許さず。そして6番打者に対しては、1ボール2ストライクと追い込んだ後に、155キロの直球で見事な空振り三振を奪ってみせた。この日最速となったボールに、観客席からは拍手とどよめきが湧き起こった。

 完璧なピッチングの佐々木を援護したい打線は、初回のチャンスこそ無得点に終わったが、2回に2死満塁から2番・熊谷温人が走者一掃のタイムリースリーベースを放ち3点を先制。援護をもらった佐々木は、3回以降も一本のヒットを許すことなく、レベルの違いを見せつける投球を披露した。その後大船渡打線は、四球などで得たチャンスを着実にものにして、終わってみれば6回9安打10得点でコールド勝ち。

 佐々木は、6回を投げ92球、無安打1四球13奪三振と参考ながらノーヒットノーランを達成した。

 試合後、國保陽平監督は「初回に点がとれず苦しい展開ではありましたが、選手たちが(自分の)プレーを信じてやってくれた」と全体を振り返り、「チームを勝ちに導けたので良かった」と好投のエースをねぎらった。

「球威あった」と捕手・及川

 一戸打線を完璧に封じた佐々木は、試合後の会見で「少しギアを上げました」と、初戦のピッチングの違いを口にした。初戦に続きノーヒットに抑えたが、「フォアボールが出てしまった。強いチームだとそこから点をとられると思うので、なくしていきたい」と、4回に1ボール2ストライクと3球で追い込んだ後に出した四球を反省。それでも「ストレートで空振りを奪えていたので良かった」と手応えをつかんだ様子もうかがわせた。

 ストレートで空振りをとることが調子のバロメーターのひとつになっているという佐々木。國保監督は、「140キロ前半の球のほうがフォームもゆったりしつつ、球の勢いもあった」と振り返り、佐々木とバッテリーを組む及川恵介は「昨年の秋に戦い、打力があるチームだとわかっていたので、力を入れて投げていたと思う。球威があるのは、受けていてもわかった」と口にした。

 佐々木が入学した年から大船渡は、夏の大会ではいずれも2試合目で敗退。「この壁を超えられるようにと選手みんなで話あっていたので、勝ててよかった」と、先制点を挙げた熊谷は笑顔を見せた。チーム全員で掲げた一つの目標を達成し、次なる戦いへ進む大船渡。次戦は第2シード・盛岡四との対戦。中1日の過密日程となるが、「あと4勝なので、一戦一戦気を抜かないで、これからどんどん強い相手が待っているので全員で勝ちにいきたい」と佐々木。

 目標の甲子園出場へ、次戦が最初のヤマ場となる。

(取材・文:松野友克/ベースボール・タイムズ)
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著者プロフィール

プロ野球の”いま”を伝える野球専門誌。年4回『季刊ベースボール・タイムズ』を発行し、現在は『vol.41 2019冬号』が絶賛発売中。毎年2月に増刊号として発行される選手名鑑『プロ野球プレイヤーズファイル』も好評。今年もさらにスケールアップした内容で発行を予定している。

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