連載:高校野球地方大会・全49地区展望

奥川擁する星稜は全国制覇も狙える戦力 地方大会の有力校を分析、北信越編

松倉雄太

3季連続で甲子園への切符をつかんでいる星陵が、この夏も石川県大会の本命だ 【写真は共同】

 高校野球ライターの松倉雄太さんに全地区の戦力を分析してもらい、今夏の有力校を占っていく連載は第7回。北信越地区は6日の長野大会を皮切りに、各地で開幕する。世代を代表する右腕・奥川恭伸(3年)を擁する星稜は、12日開幕の石川県大会を勝ち抜けるか。ドラフト候補の最後の夏にも注目が集まる。

新潟

◎日本文理
◯中越
△三条

 秋春県大会連覇の日本文理が本命。143キロ右腕・南隼人(3年)は秋の北信越大会1回戦で5回参考記録ながら完全試合を達成。ただ。その後に肘を痛め、春はメンバー外だった。夏へ向けてどこまで復調してくるかが気になる。池田真士、安城健汰(ともに3年)、長谷川優也(2年)など他の投手陣が成長し、継投でも夏を勝ち抜く体制が整った。

 昨夏代表の中越とノーシードの関根学園は2回戦屈指の好カード。中越の左腕・菅井道(るうと/3年)と関根学園打線に注目だ。同じブロックには第2シードで春準優勝の三条が入っている。

 春ベスト4の北越は投打が充実し、初出場を目指す。夏7回出場の新潟明訓、打力に自信を持つ開志学園、秋準優勝の新潟南、秋4位の帝京長岡なども上位候補。

長野

◎上田西
◯東海大諏訪
△佐久長聖

 秋の北信越大会で2校がベスト4に入った。夏もレベルの高い戦いが期待できそう。

 継投が主体の上田西は2年生エース・阿部巧雅が肩痛から復活。捕手で主将の宮坂愛斗(3年)の打撃にも注目だ。

 東海大諏訪は長野大会で秋3位、春優勝と実績は他校の上を行く。制球力抜群のエース・横田夏己(3年)が名前の通り夏に輝き、東海大三時代の1996年以来の夏出場なるか。昨夏の代表校・佐久長聖は、今年は第8シード。2回戦で夏36回出場の松商学園と初戦で激突する可能性があり、いきなり大一番となりそうだ。

 春準優勝の東京都市大塩尻も、エース・三沢直也(3年)を中心に総合力が高い。長野日大、松本第一、長野商などのシード校も虎視眈々と頂点を狙う。

富山

◎高岡第一
◯富山第一
△富山国際大付


 富山大会で秋3位、春優勝の高岡第一と、秋優勝、春準優勝の富山第一が2強となる。

 高岡第一は4番・捕手で主将の廣田陽斗(3年)を中心に力強い打撃が持ち味。投手陣も木村太哉、酒井嘉之(ともに3年)、佐伯成優(2年)の3投手が安定している。1981年以来38年ぶりの夏出場なるか。

 富山第一のエース・浜田陸(3年)は、春の北信越大会を2日連続で完投して自信をつけた。130キロ台半ばの直球だが、打者にとって打ちにくい投球術で頂点を目指す。初戦で夏の甲子園に16回出場し、今年はノーシードの富山商と対戦が決まり、いきなりの大一番となった。

 春の北信越大会で1勝を挙げた富山国際大付は、筑波大学の捕手として昨年の明治神宮大会にも出場した島実沙樹監督が就任。チームは3番で遊撃手の安川快飛(3年)を中心に打力アップし、初の甲子園を狙う。

 3連覇を狙う高岡商は高岡第一と同じブロック。お互い勝ち上がれば準々決勝で激突する。昨夏の甲子園を経験した井林泰雅、森田朝陽(ともに3年)など好打者が多く、「夏の高商」は侮れない。2年生右腕・黒田俊希が楽しみな砺波工、初戦で高岡第一に挑む不二越工の戦いぶりにも注目だ。

石川

◎星稜
◯日本航空石川
△小松

 北信越大会で秋春と連覇しており、夏も2連覇を狙う星稜が大本命。最速150キロを誇り、ドラフト1位候補とされる奥川を中心に、寺沢孝多(3年)、荻原吟哉、寺西成騎(ともに2年)など充実した投手陣を、捕手の山瀬慎之助(3年)が冷静にリードする。打線も2年生の内山壮真など好打者がそろい、全国制覇を狙える戦力と言えるだろう。
 対抗は昨夏の石川大会で、まさかの初戦敗退を喫した悔しさを晴らしたい日本航空石川。大黒柱はエースの重吉翼(3年)で、最速は148キロ。奥川のライバルとしても注目を集める。さらに2年生の嘉手苅浩太も成長が楽しみな右腕。打線に昨年のチームのような迫力はないが、堅実な攻めで好投手を崩したい。

 日本航空石川と同じブロックには好投手・小川琳太郎(3年)のいる小松が入った。勝ち上がれば3回戦で激突する。

 星稜のブロックに入ったのが遊学館。打線に自信を持つだけに、奥川との対決が実現すれば興味深い。伝統校の金沢、好投手を擁する鵬学園、秋の北信越大会に出場した小松商などがダークホースになりそう。

福井

◎啓新
◯敦賀気比
△福井工大福井

 混戦模様だがセンバツ1勝で自信をつけた啓新を本命に推したい。投手陣は安積航大からサイドスロー右腕・浦松巧(ともに3年)への必勝リレーが看板。特に浦松は高校日本代表候補研修合宿に参加して刺激を受けた。今年は全国を見渡してもサイドハンドが貴重で、高校日本代表入りを目指す意味でも、大事な夏になる。主将で捕手の穴水芳喜(3年)は主軸も担う。春夏連続出場を果たせるか注目だ。

 敦賀気比は昨夏の甲子園でエースナンバーだった左腕・木下元秀(3年)が今年は打者として中心になる。春の北信越大会初戦で完封した2年生エース・笠島尚樹の成長が著しく、黒田悠斗(3年)も控える。

 秋春と県大会を制した福井工大福井は打力が自慢。ただ春の北信越大会では10安打を放ちながら2得点で初戦敗退し、課題が残った。7年ぶりの夏へ向けて、効率よく得点する能力がカギになるかもしれない。

 147キロ左腕・玉村昇悟(3年)を擁する丹生がダークホース。啓新と同じブロックに入り、お互い勝ち上がれば準々決勝で激突する。実現すれば楽しみなカードだ。秋準優勝で近年力をつけている金津、同じブロックのシード校・福井商、140キロ右腕・石川稜太朗(3年)擁する武生なども注目チームだ。

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著者プロフィール

 1980年12月5日生まれ。小学校時代はリトルリーグでプレーしていたが、中学時代からは野球観戦に没頭。極端な言い方をすれば、野球を観戦するためならば、どこへでも行ってしまう。2004年からスポーツライターとなり、野球雑誌『ホームラン』などに寄稿している。また、2005年からはABCテレビ『速報甲子園への道』のリサーチャーとしても活動中。

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