大阪桐蔭は夏連覇の挑戦権を得られるか?
地方大会の有力校を分析、近畿編
現チームでは苦しい戦いが続く大阪桐蔭だが、西野(写真)ら擁する打線は強力
現チームでは苦しい戦いが続く大阪桐蔭だが、西野(写真)ら擁する打線は強力【写真は共同】

 高校野球ライターの松倉雄太さんに全地区の戦力を分析してもらい、今夏の有力校を占っていく連載は第6回。近畿地区は6日の大阪、京都、兵庫地区を皮切りに、各地で開幕する。全国的な強豪の激突が予想される地区も多く、高校野球ファンには目が離せない。

滋賀

◎近江

◯滋賀学園

△光泉


 春の県大会、近畿大会を制した近江が頭一つ抜けている。エース左腕・林優樹(3年)は4月の高校日本代表候補研修合宿に参加して刺激を受けた。テンポの良い投球とキレ味鋭い変化球は高校生左腕として一級品。主将で捕手の有馬諒(3年)の高校生離れしたリードも光る。打線は昨夏の甲子園で個人大会最高打率(.769)を30年ぶりに更新した住谷湧也(3年)が今年も好調。投攻守で全国上位を狙える戦力だ。不安は林に次ぐ投手陣。初戦の膳所から難敵が続くため、林が最大5試合を1人で投げ切るかもしれない。


 対抗の滋賀学園も他校からは一歩リードしている。ドラフト候補に名が挙がる左腕・尾崎完太、右の竹本徹(ともに3年)、さらに2年生右腕の田上友一朗と投手陣の層が厚い。ポイントは近江と対戦の可能性がある決勝で林を打てるかどうか。光泉はノーシードながらドラフト候補右腕・吉田力聖(3年)を擁し、17年ぶりの甲子園を狙う。フェントン・ライアン(3年)のキャプテンシーにも注目だ。


 秋準優勝の近江兄弟社は、お互い勝ち上がれば近江と準々決勝で対戦するブロックに入った。左腕・菊地凛(3年)を中心に26年ぶりの夏を目指す。そのほか、彦根東、綾羽のシード校に加え、高島、比叡山、水口なども上位候補だ。

京都

◎京都国際

◯龍谷大平安

△福知山成美


 春優勝の京都国際と3位の龍谷大平安は比較的ブロックに恵まれた印象だ。


 春に夏秋を含めて初めて京都を制した京都国際は、左腕・生駒拓也と147キロ右腕・酒井海央(ともに3年)の二枚看板が安定。ドラフト候補の遊撃手・上野響平(3年)を1番におき、長打力のある早真之介(2年)を4番に据える打線も強力。勢いにのって夏も制するか。


 センバツベスト8の龍谷大平安は秋・春と京都国際に敗れ、現チームではまだ府の頂点に立っていない。エース・野澤秀伍と豊田祐輔(ともに3年)の両左腕に右の橋本幸樹(3年)が成長。打線は体調不良で春の大会に出られなかった奥村真大(2年)が復帰。原田英彦監督も、「ヤツ(奥村)が必要」と胸をなでおろしている。


 秋の京都王者でセンバツ出場の福知山成美はエース・小橋翔大(3年)がどこまで復調できているか。勝ち上がれば2戦目(3回戦)で145キロ右腕・遠藤慎也(3年)を擁する京都翔英、4回戦で春に敗れた乙訓、準々決勝では昨夏準優勝の立命館宇治と対戦する可能性がある厳しいブロックに入った。


 春ベスト4の鳥羽と好投手・本城颯己(3年)を擁する京都共栄は初戦屈指の好カード。京都成章、京都外大西、東山、北嵯峨なども力がある。

大阪

◎履正社

◯大阪桐蔭

△関大北陽


 例年通り3回戦までの組み合わせが決まり、4回戦以降は2度再抽選が行われる。途中の抽選も大会のポイントだ。


 センバツ出場の履正社はエース左腕・清水大成(3年)に次ぐ投手の成長がカギ。打線は桃谷維吹(3年)、小深田大地(2年)、井上広大(3年)を中心に強力だ。初戦は公立の好チーム・池田と対戦。勝ち上がれば3回戦で春準優勝の箕面学園と激突する可能性がある。


 昨年は2度目の春夏連覇という偉業を果たした大阪桐蔭だが、今春は大阪大会で近大付に完敗した。現チームでは苦しい戦いが続いているが、夏はしっかりチームを作ってくるだろう。中軸に座る西野力矢、船曳烈士の2年生コンビは長打力があり、宮本涼太や主将の中野波来ら3年生が支える。エース・中田惟斗、右の新井雅之(ともに3年)、左の藤江星河(2年)らでどこまで失点を防げるか。夏連覇の挑戦権を得るためにも、投手陣の底上げは不可欠だ。


 秋に大阪桐蔭を苦しめた関大北陽は、春3回戦敗退で評価を落とした印象だが、主将の長距離砲・赤松俊祐(3年)を中心に総合力は高い。課題の投手陣も2年生エース・坂本雅治が成長してきた。


 春優勝で148キロ右腕・上田大河(3年)を擁する大商大高と古豪・興国は1回戦屈指の好カード。大商大堺も同じブロックで、どこが勝ち抜いてくるか。


 昨夏の南大阪代表・近大付はエース・梅元直哉(3年)が安定。2年連続の夏を目指す。大阪偕星学園は投打に高いセンスを見せる速球派右腕・坪井悠太(3年)がどこまで投げられるか。東海大大阪仰星、大体大浪商、金光大阪も上位候補。公立では鳳、大塚、八尾など南地区のチームに勢いを感じる。

兵庫

◎明石商

◯須磨翔風

△神戸国際大付


 公立優勢の兵庫の中でも1枚、2枚抜けた存在が、春の甲子園4強の明石商だ。センバツで史上初の先頭打者&サヨナラ本塁打を放った来田涼斗と、147キロ右腕・中森俊介の2年生コンビは来秋のドラフト候補に名が挙がる。3番・重宮涼、4番・安藤碧(ともに3年)を中心にした打線も強力。センバツから多くのメンバーが入れ替わり、層の厚さを物語る。4回戦で好投手・山中勇人(3年)を擁する西脇工と対戦する可能性があり、2年連続の夏出場へ向けて、最初のポイントになりそうだ。


 須磨翔風は春の神戸地区大会で神戸国際大付、県大会で明石商を破った。エース・北村聡汰(3年)は130キロ台中盤の直球を主体に玄人好みの投球術を見せる。悲願の初出場なるか。春の近畿大会準優勝の神戸国際大付は145キロ右腕・鍵翔太(3年)がケガから復活。投手陣が充実してきた。打線も柴野琉生(3年)を中心に強力で、2年ぶりの夏を狙う。第1シード・市西宮のブロックには、いずれも実力校である報徳学園、滝川二、市尼崎が入った。ここをどこが勝ち上がるかが楽しみだ。


 3回戦で見られるかもしれないのは西宮東・茶谷哲兵(3年)と、県伊丹・執行大成(3年)の公立好投手対決。川西緑台の140キロ右腕・諏訪広樹(3年)のピッチングにも注目だ。社の藤本竜輝、姫路南の照峰賢也、武庫荘総合の谷添涼羽(いずれも3年)も公立の好投手。私立では東洋大姫路、関西学院、三田松聖、市川、育英などが打倒公立を目論む。

奈良

◎智弁学園

◯天理

△郡山


 3年ぶりの出場を狙う智弁学園は塚本大夢、坂下翔馬(ともに3年)と昨春のセンバツを経験した選手が引っ張る。投手陣は1年生の小畠一心と西村王雅が春の近畿大会で堂々としたピッチングを見せた。3回戦で昨夏の代表校・奈良大付と対戦する可能性があり、ここが県大会の行方を占う試金石となるかもしれない。


 秋の奈良大会優勝の天理は主将で捕手の北野樹(3年)をケガで欠き、春は準々決勝で郡山に大敗。ノーシードとなった。打者としては復帰している北野が、捕手としてどこまで復活してくるかがポイント。投手陣はエース左腕・桂田拓郎(3年)が引っ張る。


 春の奈良大会準優勝の郡山は、2年生で主軸を担う土井翔太を中心に打線が活発。投手陣が失点をどこまで減らせるかがカギとなる。天理と3回戦で対戦する可能性があり、こちらも興味深いブロックだ。


 法隆寺国際は春を不祥事で棄権したものの、エース・丹羽拓哉(3年)のピッチングに注目。春ベスト4でブレークした奈良高専の戦いぶりも楽しみだ。

和歌山

◎智弁和歌山

◯市和歌山

△和歌山東


 センバツベスト8同士、智弁和歌山と市和歌山の2強モードが今大会も続くのか。


 智弁和歌山はエース・池田陽佑(3年)、センバツで最速147キロを計測した小林樹斗(2年)に加え、1年生の中西聖輝が頭角をあらわし、投手層が厚くなった。打線も黒川史陽が1番に座り、西川晋太郎(ともに3年)、細川凌平(2年)、東妻純平(3年)、徳丸天晴(1年)と強打者が続く。中谷仁監督にとって初めての夏を順調に勝ち上がれるか。


 市和歌山は1年生スラッガーの松川虎生が入り、力強い打線になった。エースナンバーを取り戻した柏山崇(3年)、春のエース岩本真之介(2年)の2枚看板を中心に、1年生の小園健太の登板もあるかもしれない。


 最速148キロを誇るドラフト候補右腕・落合秀市(3年)を擁する和歌山東がダークホース。抽選で市和歌山のブロックに入り、勝ち上がれば3回戦で激突する可能性がある。古豪の桐蔭と海南がシードを獲得、夏も上位候補に食い込めるか。初芝橋本は、かつて北嵯峨、鳥羽、立命館宇治などで指揮を執った卯滝逸夫新監督が就任し、どのようなチームに仕上げてくるか。


 那賀の142キロ右腕・谷脇弘起や、南部の鎌倉海斗、航太(いずれも3年)の双子バッテリー、初戦の2回戦で智弁和歌山に挑む和歌山南陵の戦いにも注目だ。

松倉雄太
松倉雄太

 1980年12月5日生まれ。小学校時代はリトルリーグでプレーしていたが、中学時代からは野球観戦に没頭。極端な言い方をすれば、野球を観戦するためならば、どこへでも行ってしまう。2004年からスポーツライターとなり、野球雑誌『ホームラン』などに寄稿している。また、2005年からはABCテレビ『速報甲子園への道』のリサーチャーとしても活動中。

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