八村塁の指名順位はどうなる? 日本バスケの歴史が変わるNBAドラフト
実現しなかったシアトルでの始球式
昨年12月のワシントン大戦、八村は残り0.6秒で決勝点をマーク。ゴンザガ大のホームアリーナは歓喜に沸いた 【Getty Images】
ゴンザガ大のホームアリーナ、通称ザ・ケンネルにはそのとき、蜂の巣をつついたような騒ぎになったが、その歓喜に沸く客席の中に、ゴンザガ大野球部出身で、今年のマリナーズの開幕投手を務めたマルコ・ゴンザレスもいた。2月のキャンプが始まってから雑談をしていると、話の流れで同じ場所に居合わせたことを知ったが、そのとき彼はもう一つ教えてくれた。
「実はあの次の日、塁に会ったんだ」
長々といろんな話をしたわけではなかったそうだが、こう続けた。
「実に好青年。彼がいることで、今年のNCAAトーナメントは楽しいものになりそうだ」
残念ながらそのトーナメントでゴンザガ大は、4強(ファイナル4)を前にして敗退。八村は大粒の涙を流した。
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「塁は、ドラフトにエントリーすることに決めたのか?」
その時点では発表されていなかったが、やがて、八村はそのことを公にしている。
「トップ10で指名されるんじゃないか?」
ゴンザレスも、八村の決断を理解した。
「彼が大学に残ったら、俺達は来年のシーズンも楽しめる。でももう、“そのとき”なんだろうな」
八村が高校を卒業するとき、日本にはもう彼が収まるような器がなかった。同様に米大学バスケ界でさえ、窮屈になっていた。ゴンザレスもそれを感じ取っていたようだ。
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