黒木知宏がイチローとの名勝負を振り返る いまだ脳裏に焼きつく特別な対戦
イチロー(写真左端)と同級生の黒木氏(同右端)。食事をするなどの親交もありながら、グラウンドの中では熱い対戦を見せてくれた 【写真は共同】
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18.44メートル間でのギリギリの攻防
阪神・淡路大震災があった年(1995年)の、オープン戦でした。イチローは前年、NPB史上初の200安打超えを記録し、首位打者とMVPを獲得していました。僕はルーキーだったし、オープン戦中に一度2軍に落ちていたので、そんなすごい同級生と戦えること、そして当然彼を抑えれば良い評価をもらえる、自分のアピールにもなるということで、必死に投げた記憶があります。
――結果は覚えていますか?
四球だったような気がします。僕はとにかく必死だったので、あまり記憶がないんですよ(笑)。ただ目いっぱい、ストレートを投げたことだけは覚えています。
――イチローさんが打席に入るときのルーティンについては、どう感じていました?
最初はあまり何も感じなかったんです。僕が本能的なピッチャーだったせいか、「いいパフォーマンスを出すためにはルーティンを作らなきゃいけない」という知識が自分にはなかったんですね。でも、イチローはそのときすでに、自分の最高のパフォーマンスを出すために、常に同じような空気感、同じようなタイミングで打席に入っていた。若いのに、そういうことができる思考が整っていたということですよね。僕はプロで投げて、打たれて、いろいろな知識を得ていく中で初めて、「あのルーティンを崩していかないことには、イチはもう抑えられないかな」と思うようになりました。それがプロ2、3年目のころだったと思います。
――ルーティン崩しには、どんなことを?
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