今さら聞けない! 教えて加藤レフェリー 観戦に役立つバスケルールの話
ビデオ判定をするのはどういう時?
3人のレフェリーは同じ権限を持ち、3人でコミュニケーションを取りながら試合を進行していく 【(C)B.LEAGUE】
「他の競技での『チャレンジ』の制度ではチームのコーチやプレーヤーがビデオ判定を要求する場合がありますが、バスケットボールではあくまで下した判定に対し、レフェリーが確信を持てなかった時にのみビデオ判定を行います。チームからも『今の違ったんじゃないのか』という意見がたまたま一致する場合もあるので、アピールによってレビューしていると勘違いされている方もいらっしゃるかもしれません。
ビデオ判定ができるのは3つの時間帯に分かれていて、チェックできるものもルールで規定されています。まずは『ゲームの最初から最後までいつでも確認できるもの』、『各Qと各オーバータイムの終了間際だけ確認できるもの』、『第4Qと各オーバータイムの残りの2分間だけ確認できるもの』の3カテゴリーに分かれています。
ゲーム中いつでもチェックできる項目は下記の通り全部で6つあります。
(1)成功したショットが3ポイントだったのか、2ポイントだったのか。
(2)成功しなかったショットに対してファウルがあった時に与えられるフリースローが3本なのか2本なのか。
(3)観客の歓声などでレフェリーの笛が聞こえず、ゲームクロックが止まらなかった時など、ゲームクロックやショットクロックに誤操作があったときに正しい秒数に修正する場合。
(4)複数の人数がファウルしていたり、何かのはずみでフリースローシューターが分からなくなった場合に、正しいフリースローシューターは誰かをチェックする場合。
(5)パーソナルファウル、アンスポーツマンライクファウル、ディスクオリファイングファウルがコールされた時、それが正しく宣せられていたかどうか。もしくはそもそも宣せられたものからアップグレード、ダウングレードするのか。もしくはテクニカルファウルが妥当だったのか。
(6)コート上で暴力行為が起こった時、誰がそれに関わっていたのか。
特別なシチュエーションでのみ行われるビデオ判定も
1つ目は成功したフィールドゴールのショットがブザーよりも先にボールが手から離れていたかどうか。
2つ目はシューターのアウトオブバウンズ(編注:コートの外にボールが出た場合のこと)、8秒・24秒のオーバータイム、ファウルが各Qや各オーバータイムの終了間際に宣せられたとき、ゲームクロックを何秒に修正するかの確認です。
最後に第4Qと各オーバータイムの残りの2分間だけ確認できるものは下記の4つです。
(1)誰がボールをアウトオブバウンズにしたのか。いわゆるラストタッチの確認です。
(2)ゴールテンディング(編注:ボールがリングより高い位置にあり、なおかつ落下中であるときにボールに触れる反則)やインタフェアレンス(編注:シュートされたボールがリング上にある時に、リング・ネット・バックボードに触れた場合に課せられる反則)が宣せられた時、それが正しかったのかどうか。この場合はバイオレーション(編注:ファウル以外のすべての違反)が宣せられなかったとき、プレーが続きビデオ判定は行いません。
(3)ショットクロックの終了間際で行われたショットが成功した場合に、そのショットがブザーより先にボールが手から離れていたかどうか。
(4)どこかでファウルが宣せられたとき、別のところでショットが行われた場合に、ファウルより先にショットが行われていたかどうか。
以上のケースは、全部レフェリー3人が正しく把握していて、必要に応じて適切に使っていけるかが大事になってきます。われわれもできるだけスムーズにゲームを進めたい一方、使うべきところは使っていかないといけないと思っています」
最後に加藤氏にレフェリーの立場から、どのようにバスケットボールを見れば楽しくなるかを聞いてみた。
「レフェリーの立場から言わせていただければ、レフェリーが気にならない試合が一番いいのではないかと思います。しかし、これからCSが始まるので、より一層レフェリーの存在を求められるシーンが増えてくると思います。3人で役割を分担して試合をコントロールすることを心がけていきます。これからバスケットボールを見て楽しもうと思っている皆さんには、間近で見るプレーを楽しんでいる時に鳴るのがレフェリーの笛です。その笛には意味があることを認識して楽しんでいただくためにも、今回お話したことを参考にしていただければと思います」