今さら聞けない! 教えて加藤レフェリー 観戦に役立つバスケルールの話

日本バスケットボール協会初のプロレフェリー、加藤誉樹氏にバスケットボールのルールや分かりにくい点を解説していただいた 【写真:バスケットボールキング】

 今週末から各地で始まるBリーグのチャンピオンシップ(CS)。ゴールデンウィークに行われるこの機会にBリーグの試合を観に行こうという方も多いはず。日本のバスケットボールはBリーグ以外にも22年ぶりに自力でFIBAワールドカップへの出場を決めたり、来年の東京五輪の出場権を獲得するなど気になる存在だ。

 そこで今回、日本初のプロフェッショナルレフェリーである加藤誉樹氏にルールについて解説をしてもらった。「学校の授業で3歩歩くのはダメ!」くらいは覚えているけれど、今さら聞けないルールの話を確認して、バスケットボール観戦をさらに楽しんでもらいたい。

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ファウルの種類とコール時の動作について

どのようなファウルが起きたのかは笛の後のレフェリーのジェスチャーで分かる 【画像:「2019バスケットボール競技規則」より】

「あれ? 今なんで笛が鳴って試合が止まったんだろう?」

 試合を観ていると、このようなことを思うこともしばしばあるはず。ただし、レフェリーは必要な時でなければ笛は吹かない。例えば選手に合図したり、盛り上がったベンチを沈めようと警告の笛を吹くということはないのだ。

 一般的に笛が吹かれることが多いのはファウル(反則)のケース。ではそれにはどのような種類があるのか、加藤レフェリーに聞いてみよう。

「ファウルにはボールを持っているチームのプレーヤーが起こすオフェンスファウル、逆に守るチームのプレーヤーが起こすディフェンスファウルがあります。どちらのファウルに関わらず、笛を吹いたレフェリーが、記録をつけているテーブルオフィシャルに向かって、3種類のシグナルを(手で)示します。

 1つ目は誰のファウルだったか、何番のプレーヤーか。2つ目はファウルの種類です。そして最後に、再開の方法を示します。スローインであればその方向、フリースローであればそれが何本なのかを示すのです。

 ディフェンスのプレーヤーが相手をたたいたり、押したりするディフェンスファウルが比較的多くなってきます。『プッシング(押す)』、『ブロッキング(進行を妨げる)』、『ホールディング(腕をつかむ)』あたりがよく見るファウルで、それを示すジェスチャーになります。

 ファウルの種類を示すのは、競技規則に決められたシグナルで伝えます。『プッシング』であれば押したというジェスチャー、『ホールディング』であればつかんだというジェスチャーになります。分かりにくいケースでは『ブロッキング』です。例えば、相手がA地点からB地点に向かおうとしたところ、ファウルのコンタクトによってB地点にたどりつけなかったり、B地点ではなくC地点にたどり着いてしまったり。そのような時に『ブロッキング』となり、腰に手を当てるジェスチャーで示します。この動作を覚えれば、今何が起こったのかが把握できるはずです。

 また、ファウルは各クォーター(Q)、チームで5個以上宣せられると相手チームにフリースローを打つ権利が与えられます。しかし、これはディフェンスファウルに限った場合で、オフェンスファウルの場合フリースローは与えられません。『あれ、もう5個以上ファウルしているのに、なぜ?』という場合は、オフェンスファウルだからです」

レフェリー3人の役割分担

レフェリーはポジションを変えながら3人で協力してプレーをチェックする 【(C)B.LEAGUE】

 五輪やワールドカップのような国際ゲーム、さらにBリーグ、Wリーグのような国内のトップリーグでは3人のレフェリーによって試合が進行される。Bリーグの場合、クルーチーフ、ファーストアンパイア、セカンドアンパイアと紹介されるが役割分担はどのようになっているのだろうか。

「サッカーのように主審、副審のような形ではなく、バスケットボールの場合はレフェリー3人に等しい権限があります。アンパイアーが下した判定について、クルーチーフがその判定を覆すことは基本的にありません。バスケットボールはスピーディーなスポーツなので例外はありますが、基本的にはボールのサイドにレフェリーが2人います。ボールに対して先行しているレフェリー、エンドラインの外側にいるレフェリーをリードオフィシャルと言います。リードオフィシャルと同じサイドでプレーを追いかけている、追従しているレフェリーをトレイルオフィシャルと言います。ボールとは違うサイドにいるレフェリーをセンターオフィシャルと言い、それぞれが分担して試合をチェックし、それが試合の状況によって、3人がその役割を担います。

 プレーが行われているところから近い場所にいるのに、別のところから笛が鳴る場合もあります。『なぜ一番近いレフェリーがジャッジしないの?』と疑問を持つ方もいるでしょう。

 われわれレフェリーはエリア(場所)とアングル(角度)を大事にしています。近くで行われているプレーでも見れないケースがあり、そういったプレーに対して別のアングルから見やすいレフェリーがジャッジを下すわけです。

 プレーはドリブルすることで場所がどんどん移動していくことが往々にしてあります。そのような場合でも3人で角度を共有して、いいアングルで見られているレフェリーが笛を吹くのです。必ずしも近くにいるレフェリーが笛を吹くわけではないと覚えておいてください。

 また、3人がずっと1つのプレーを見ているわけではありません。レフェリーはコート上の2組10人の他に、時にはチームベンチにいる交代要員やコーチの振る舞いを3人でカバーしていくために役割を共有しています。つまり、コートの外にも注意を置いておく必要もあるのです」

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著者プロフィール

日本バスケを盛り上げよう! 2016年に生まれたプロバスケットボールリーグ、「Bリーグ」と時を同じくして立ち上がった、日本バスケの魅力を伝えるバスケットボール専門サイト。男女日本代表、NBA、高校バスケもアツくフォローしています。

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