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フライデーナイトJリーグ

見逃せない浦和と横浜FMの「MF対決」
千変万化の中盤か、徹底攻撃主義か――

浦和の「新システム」の特徴は?

前節は土壇場で追いつき、勝ち点1を拾った浦和。指揮官も「今季のベストゲーム」と手ごたえ
前節は土壇場で追いつき、勝ち点1を拾った浦和。指揮官も「今季のベストゲーム」と手ごたえ【写真:松尾/アフロスポーツ】

 夜桜もいいけれど、金曜夜ならJリーグである。とくに4月最初の金曜日、5日に組まれた好カードは見逃せない。浦和レッズと横浜F・マリノスの激突だ。


 ホームの浦和には、追い風が吹いている。


 第5節のFC東京戦は好例だろう。土壇場で同点に追いつき、勝ち点1を拾った結果もさることながら、内容に改善の兆しが見える。オズワルド・オリヴェイラ監督も「今季のベストゲーム」と手ごたえを隠さなかった。


 国際Aマッチの中断期間を利用し、新システムの習熟度を高めた成果と言ってもいい。従来の3バック(3−5−2)から4バック(4−4−2)への転換を図ったことだ。重要なのは「3か4か」ではない。攻守の両面で時間、空間、数の優位を引き出すために、各々がめまぐるしく位置取り(ポジショニング)を変えるところに浦和の新システムの妙味がある。

浦和の最大の見どころは、柏木(写真)を中心に形成される千変万化の中盤だ
浦和の最大の見どころは、柏木(写真)を中心に形成される千変万化の中盤だ【写真:松尾/アフロスポーツ】

 最大の見どころは、千変万化(せんぺんばんか)の中盤だろう。


 中央の柏木陽介と青木拓矢、右の長澤和輝、左のエヴェルトンの4人だ。ちなみにFC東京の長谷川健太監督は4人の位置取りについて「ひし形(ダイヤモンド型)だったので、立ち上がりは戸惑った」と振り返っている。


 トップ下に柏木、アンカーに青木、長澤とエヴェルトンがインサイドMFとして内に絞った形――と見たわけだ。もっとも、ブロックを組んで守るときは4バックの手前でフラット(横一列)に並び、ビルドアップのときは青木が最後尾に落ちて、残る3人が三角形や逆三角形に並ぶこともあった。攻守の局面に応じて、各々の立ち位置を変えていた。


 4人の動きに伴い、周囲もポジショニングを変えている。青木が後方に下がると、左右のサイドバック(SB)が高い位置へ。3−5−2へのシフトだ。これによって、浦和のSBをマークする対面のサイドハーフを押し込み、2トップを孤立させ、深い位置からの逆襲を難しくさせた。ゲームを有利に運べた一因だろう。

横浜FMの「徹底攻撃主義」は筋金入り

完全敵地の浦和戦だからといって、横浜FMが自分たちのスタイルを曲げることはないだろう
完全敵地の浦和戦だからといって、横浜FMが自分たちのスタイルを曲げることはないだろう【(C)J.LEAGUE】

 だが、横浜FMにも同じ手口が通用するかどうか。指揮官はFC東京戦後の記者会見で「この日のシステムがベースになるかどうかは、まだ分からない」と明言を避けた。横浜FMは、FC東京とは似ても似つかぬ相手だからだ。


 横浜FMの徹底攻撃主義は筋金入り。第3節では泣く子も黙るJ1王者・川崎フロンターレに真っ向勝負を挑み、互角に渡り合ったほどだ。完全敵地の浦和戦だからと言って、自分たちのスタイルを曲げるはずもない。


 先週金曜日のサガン鳥栖戦はスコアレスドローに終わったものの、ボールの保持率は63%、シュート数は相手の3倍以上の20本を記録。激しい当たりに苦しみながら、鳥栖に疲れの見えた後半の半ばから一気にギアを上げて、チャンスの山を築いている。


「彼らは技術力が高く、ブラジル人トリオも質が高い」とオリヴェイラ監督が警戒心を強めるのも道理だろう。FC東京戦とは違い、守りに回る時間が増えるはずだ。ただし、実質5バック(5−3−2)で守る従来のシステムは先手を取って逃げ切る際のオプションとして取っておくのではないか。


 そもそも守りっぱなしでは勝ち目がない。ボールを持って攻め続けたい横浜FMにとって、最も避けたい展開は相手にボールを持たれることだろう。浦和がそうした図式へ持ち込むには新システムの選択がベストか。

北條聡

週刊サッカーマガジン元編集長。早大卒。J元年の93年に(株)ベースボール・マガジン社に入社。以来、サッカー畑一筋。昨年10月末に退社し、現在はフリーランス。著書に『サカマガイズム』、名波浩氏との共著に『正しいバルサの目指し方』(以上、ベースボール・マガジン社)、二宮寿朗氏との共著に『勝つ準備』(実業之日本社)がある。