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高校野球監督の名言
「素晴らしい助言も試合終了後では遅い」
今治西・大野康哉

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今治西・大野監督は、一塁や一、二塁の段階で伝令を送る。そのこころは?
今治西・大野監督は、一塁や一、二塁の段階で伝令を送る。そのこころは?【写真は共同】

“日本一熱い監督”といっても過言ではないだろう。それが、今治西の大野康哉監督だ。グラウンドでは決して座らない。「偉そうに見えたらよくない」と腕を組むこともしない。自ら声をからし、選手と一緒になって汗を流す。冬場のトレーニングも選手につきっきりで声をかける。メニューを与え、やらせるだけの指導はしない。選手と一体となっての寄り添う指導がスタイルだ。

 熱血指導が実を結び、公立校ながら2006年から12年にかけて7年連続して春夏いずれかの甲子園に出場。環境や素材の差を言い訳にせず、チャレンジし続けている。そんな大野監督がピンチで心がけていることとは?

やるべきことを明確に、迷いをなくす

 三振した後に、「インコースにストレートが来たんだから、次はアウトコースにスライダーだろ」と言っても意味がない。ホームランを打たれた後に、「あのバッターは低めの変化球は打てない」と言っても遅い。

 どんなことを言っても、“事が起こった後”ではどうしようもないのだ。大野監督が心がけているのは、大ピンチの前にアドバイスを送るということ。満塁や二、三塁になってからではなく、一塁や一、二塁の段階で伝令を送ることがほとんどだ。


大ピンチを未然に防ぐ。大きなピンチになる前にいかに芽を摘んで切り抜けていけるか。戦い方として絶対に欠かせないものだと思ってますね。1点を取られても、1点をやらないという感覚です」


 大ピンチになると、選手たちは余裕がなくなる。重圧がかかり、言葉が耳に入らなくなることもある。それも踏まえて、冷静さを保っているピンチのひとつ前の段階でアドバイスを送るのだ。初めて監督を務めた伯方時代には、苦い経験を何度もした。当時は、「試合の後半は何があるかわからないから」とタイムをあとに残していたが、伝令を温存した前半に大量点を取られて、流れがつかめないまま試合が終わることが多かった。そのときの教訓も踏まえ、現在は早めのアドバイスを徹底している。

田尻賢誉

スポーツジャーナリスト。1975年12月31日、神戸市生まれ。学習院大卒業後、ラジオ局勤務を経てスポーツジャーナリストに。高校野球の徹底した現場取材に定評がある。『智弁和歌山・高嶋仁のセオリー』、『高校野球監督の名言』シリーズ(ベースボール・マガジン社刊)ほか著書多数。講演活動も行っている。「甲子園に近づくメルマガ」を好評配信中。

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